「ご請求書」「ご落選」何気なく使っていませんか?<過剰な表現>や<必要以上に自分を良く見せる>盛りすぎ敬語はかえって失礼に…
「頑張らせていただきます」「お名前様、いただけますか」「書類のほうをお送りします」…丁寧に言おうとして、おかしな日本語を使っていませんか?そんな中「盛りすぎないほうが誠実で潔い!」と断言するのが京都暮らしのコピーライター前田めぐるさんです。今回は、著書「その敬語、盛りすぎです!」より一部を抜粋して紹介します。 【書影】実は間違いだらけ「正しい敬語」の使い方。京都在住のコピーライター前田めぐるさん著書『その敬語、盛りすぎです!』 * * * * * * * ◆「盛りすぎ」には、二つの意味があります 一つ目は、過剰な敬語。言葉そのものの盛りすぎです。 二つ目は、自分を必要以上に良く見せようとする盛りすぎ。炎上や誹謗中傷を招かないよう自己防衛本能が働くのでしょう。 SNS時代ならではの背景が色濃く影響していると考えられます。例えば事件の感想を求められて「犯人の方(かた)」と言ってしまうのは感心しません。 結果的に犯人を敬うことになり、盛ったつもりが盛れないという逆転現象を引き起こしてしまうからです。 他にも、周囲に気を使いすぎたり空気を読みすぎたりすることで、誤用や誤解が生じる例は多々あります。 尊大な印象を与えてしまったり、相手との距離を縮めたいのに遠のいてしまったり……盛りすぎによるダメージは決して小さくありません。
◆言葉は人と人をつなぐ糸 そんな盛りすぎが気になる私は、マナー講師でもアナウンサーでもありません。敬語マニアのコピーライターです。 長年言葉をツールに、生活者と企業のコミュニケーションを発想し続けてきました。 近年は文章術講師として、生活者と自治体・企業のコミュニケーションを深める言葉を伝えています。 ちょっとした違和感があれば、その言葉を解きほぐし、紡ぎ直します。 大切なのは、正しさ以上に「ほどのよさ」。 盛りすぎないほどよい敬語を生かせたら、目の前にいる相手を大事に思う気持ちを率直にさりげなく表せます。 ビジネスにおいても、ごまかしのない本質を捉えた会話が成り立つでしょう。 「この人とまた会いたい」「こんな人に仕事を頼みたい」と思われたり、ふとした瞬間に心地よい空気が流れたり……盛りすぎないからこその誠実さと潔さがもたらす恩恵です。