【2024 スーパーバイク世界選手権 第11戦】ラズガットリオグルが2勝を挙げ、46ポイントリードで最終戦へ!
2024年10月11日から13日にかけてポルトガルのエストリル・サーキットでスーパーバイク世界選手権第11戦が行われた。トプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMW Motorrad WorldSBK Team)とニッコロ・ブレガ(Aruba.it Racing – Ducati)、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it Racing – Ducati)のドゥカティ勢によるチャンピオン争いは佳境を迎えた。天王山とも言える1戦でラズガットリオグルがチャンピオンへの執念を見せる。 【写真はこちら】スーパーバイク世界選手権 第11戦で活躍したライダーたちの雄姿 ●ラズガットリオグルが復帰後初優勝! ウエットコンディションで行われたスーパーポールでは、ラズガットリオグルがポールポジションを獲得。2番グリッドは雨が得意のダニーロ・ペトルッチ(Barni Spark Racing Team)、3番グリッドにはジョナサン・レイ(Pata Prometeon Yamaha)が入り、久々のフロントローからのスタートとなった。 ランキング2位のブレガは5番グリッド、ランキング3位のバウティスタは11番グリッドと後方からのスタートとなった。 気温21度、路面温度28度のドライコンディションの中、21周のレース1がスタート。各車順当なスタートを切るも、ターン1のブレーキングでペトルッチがホールショットを奪いトップに浮上する。 4番グリッドからスタートしたアンドレア・ロカテッリ(Pata Prometeon Yamaha)が2位に浮上し、ラズガットリオグルは3位に後退。4位はレイ、5位ブレガ、好スタートを決めたバウティスタが6位につける。 2周目にはロカテッリがトップに浮上するも、ラズガットリオグルも続き2位に浮上。5周目のホームストレートでロカテッリをオーバーテイクしたラズガットリオグルがトップに躍り出た。 一方、ブレガはレイとのバトルでラインを外したことで8番手に後退。しかし、ファステストラップをたたき出し、7周目にはペトルッチとレイを攻略し4番手に浮上した。 7周目、ペトルッチが単独で転倒を喫しリタイア。トップはラズガットリオグル、バウティスタが2位、ロカテッリが3位、そして追い上げを見せるブレガが4位に浮上した。 2位に上がったバウティスタがラズガットリオグルとの距離を詰めるかに思われたが、両者のギャップは徐々に拡がっていく。タイトル争いであとがないバウティスタはラズガットリオグルを追うも、11周目のターン9でフロントが切れ込み転倒。すぐにコースに復帰するも、ピットに戻る。その後日曜日に向けてコースに復帰するもノーポイントとなった。 これでロカテッリを捕らえていたブレガが2位に浮上。ロカテッリはそれでも表彰台圏内の3位を走行していたが、15周目に7コーナーで転倒を喫した。ロカテッリに代わり3位に浮上したのはトップはイケル・レクオーナ(Team HRC)。徐々に順位を上げていたレクオーナはライバルの転倒もあり、念願の表彰台圏内に入ってきた。 ライバルのブレガを寄せ付けることなく、ラズガットリオグルが独走優勝。ブレガは2位、そして3位にはレクオーナが2022年のオランダラウンド レース2以来の表彰台を獲得した。そしてホンダにとっても今季初の表彰台獲得となった。 ●ラズガットリオグルがメインレースで優勝しタイトルに王手 日曜日の午前に行われたスーパーポール・レースではブレガが意地を見せた。最終ラップの最終コーナーを2位で立ち上がったブレガは、トップのラズガットリオグルと並ぶようにフィニッシュラインを通過。 わずか0.003秒差でブレガが逆転し優勝、ラズガットリオグルが僅差で優勝を明け渡すことに。このほんの僅かなギャップはSBK史上最もタイム差の少ないゴールシーンとなった。 スーパーポール・レースの結果により、ポールポジションはブレガ、2番グリッドはラズガットリオグル、3番グリッドにはバウティスタがつけた。 レース2は、気温25度、路面温度34度のドライコンディションの中、メインとなるレース2がスタート。3番グリッドスタートのバウティスタがホールショットを奪い、ロカテッリがレース1と同様に素晴らしいスタートを決め2位に浮上した。 一方、ポールシッターのラズガットリオグルは5位に後退。ブレガ、そしてレイの後ろでレースをスタートさせた。 ラズガットリオグルがポジションを落とす中、なんとしても優勝したいブレガは3周目のターン1でロカテッリをパスし2番手に浮上。しかし、その後方ではラズガットリオグルもレイとロカテッリを攻略し、3位までポジションを回復させた。 これでバウティスタ、ブレガ、ラズガットリオグルというタイトルコンテンダー3名がトップ争いを繰り広げる展開となった。 ラズガットリオグルは5周目にブレガをパスし2位に浮上。ブレガも抵抗を試みるも、ラズガットリオグルに2位の座を奪われてしまい、トップ争いはバウティスタとラズガットリオグルに絞られる。 そして7周目のターン6でバウティスタが若干はらんだところをラズガットリオグルがインを突きトップに浮上。前がひらけたラズガットリオグルはファステストラップを叩き出し、ハイペースで独走体制を築いていく。 タイトル争いを最終戦にまで持ち込みたいブレガは9周目に僚友バウティスタをパスし2位に浮上。しかし、ブレガが2位に上がった時点でラズガットリオグルはすでに2秒以上のギャップを築いていた。 7周目にトップに立って以降、一度も首位の座を明け渡さなかったラズガットリオグルがトップチェッカーを受け優勝。ブレガが2位に入りタイトル確定とはならなかったが、両者のポイント差が46にまで拡大し、ラズガットリオグルがタイトルに向けて大きく前進した。 そしてこのレースで7位に入ったペトルッチが今シーズンのベスト・インディペンデント・ライダーを獲得。クレモナでは初優勝を含む3連勝を達成するなど、この称号に相応しい活躍を見せた。 最終戦は10月18日から20日にかけて行われるスペインラウンド。タイトル争いはラズガットリオグルとブレガの一騎打ちとなる。 そして、最終戦には全日本ロード選手権で活躍している長島哲太がホンダからワイルドカードで参戦することが発表された。HRCのテストライダーとして実践開発を目的とした参戦ではあるものの、着実に進化を果たしているホンダだけに、上位でレースを展開することも期待したいところだ。
河村大志