【ウクライナ侵攻で防衛へ“本気”となるNATO】ワシントン・サミットで期待される3つの主要議題とは
一方、核については、ポーランドやバルト諸国等は、米国の非戦略核配備を伴う核シェアリングを望む声が増えている。当面は、NATOの一体性を堅持しながら、「欧州の自律性」の範囲と限界が議論されていくものと思われる。 第二のウクライナ支援については、今次サミットでは、(1)キーウへのNATO代表事務所の開設、(2)ドイツのヴィースバーデンに軍事支援の調整や訓練のための拠点の設置、(3)約400億ドルの財政支援、(4)防空体制の強化が決められる。これらは「長期にわたる支援」を想定したもので、NATOへの「架け橋」と説明されている。 第三に、NATOの日本等との協力については、「インド太平洋4カ国(IP4)」首脳のNATOサミットへの招待は今年で3度目となる。これは、ロシアが再び深刻な脅威として位置付けられ、中国に対する警戒感、ならびに中露両国が持続的な戦略的協力関係にあるという認識が、欧州NATO諸国と日本等IP4との間で共有されてきたからである。IP4との協力への関心はこれと並行する形で高まってきた。
日本との協力関係も強化
昨年のビリニュス・サミットにおいては、それまでの日NATO国別パートナーシップ協力計画(IPCP)を発展させた国別適合パートナーシップ計画(ITPP)(2023年~26年)が署名され、サイバー、宇宙、海洋安全保障、救難援助など16の協力分野が明記された。 また本年6月にはトルコ、オランダと日本周辺海域において共同訓練が実施され、同7月19日~25日には、ドイツ、フランス、スペイン空軍と北海道で共同訓練が行われる予定となっている。このような実践的協力の推進は、この地域における日米欧の安全保障協力の深化になり、インド太平洋における抑止力強化の重要な役割を果たすことになろう。
岡崎研究所