最難関中学受験塾「Z会エクタス」はどんな塾? 2024年入試総評と合格に向けた指導方針をレポート
Z会エクタス栄光ゼミナール(以下、Z会エクタス)の「2024年入試報告会」が3月10日に行われた。会場となった新宿NSビル30階のNSスカイカンファレンスには、難関校を目指す生徒の保護者たちが多数集まった。会場には正面の大きなスクリーン以外にも液晶モニターがいくつか設置され、そこに映し出されるデータはとても見やすいものだった。 栄光ゼミナールはいくつもの塾ブランドを展開しているが、Z会エクタスとはどんな塾か。本体である栄光ゼミナールが幅広い層を対象にしているのに対して、Z会エクタスは最難関中学をターゲットにしている。 2023年度は生徒125名中、70名が男女御三家(開成、麻布、武蔵および桜蔭、女子学院、雙葉)、筑波大学附属駒場、駒場東邦といった最難関中学に合格している。よって、そのZ会エクタスの入試報告会に集まるのは、最難関校を目指す生徒の保護者たちだ。ノートパソコンを広げてメモを取る保護者も見受けられ、熱心に報告に聞き入っていた。 【グラフ】開成中学校の合格者が一番多い塾はどこ? 塾別合格者数の推移を見てみる
受験率は過去最高を記録、最難関層は激戦が続く
まず、Z会エクタス池袋校の教室責任者・白田真先生より最難関中学の入試概況が説明される。 今年は受験生が微減したものの、受験率は過去最高を記録した。中学受験で増えているのは中堅校志望者で、その一方で上位層は少しずつ受験者数が減ってきているが、最難関層はあまり減っていない。 激戦が続く最難関校受験では、毎年「今年は算数で合否が決まった」「4教科のバランス型だった」と傾向が分析されるが、2024年度は明らかに「4教科のバランス型」であった。 理由としては算数の傾向にある。中学受験の最重要科目は算数とされる。理由はもっとも点差がつくからだ。国語は書き取りや語彙などの知識問題が出るのでゼロ点ということはまずないし、逆に満点も取りにくい。しかし算数はゼロ点が毎年出る上に、満点を取る生徒もいる。算数は点差が出るといわれるゆえんだ。 しかし、今年はそうもいかなかったようだ。試験を終えたある受験生から算数の感想を聞いた際に、白田先生は「今年は厳しい入試になるかもしれない」と思ったそうだ。 その受験生は算数が得意なので、捨て問(難問なのであえて解かないことを選択する)と優先して解くべき問題の判別ができる。その受験生から見て今年の算数は、「難しくてみんなが得点できない問題」と「みんなが得点できる問題」の二極化していて、差がつかない問題だったのだ。 そうなると、算数の学力が高い受験生は、自分の得意科目でライバルに差をつけて入試を突破することができない。また、差がつかないと、ひとつのミスで5点を落とすことが合否を分けることになる。 算数で差がつかなかったので、ほかの科目で点数を取った受験生が合格する傾向だったと白田先生は分析した。