最難関中学受験塾「Z会エクタス」はどんな塾? 2024年入試総評と合格に向けた指導方針をレポート
「緩急をつける」併願パターンが流行り
最難関校受験では、学力を高める対策だけではなく出願戦略も重要になってくる。 まず、1月入試は受験をすべきで、合格した場合は弾みをつけることになるし、うまくいかなかった場合は「なぜ残念な結果になったのか」を検証する機会になるからだ。実際の入試を経験することは、ライバルに鍛えてもらえる機会にもなるので、1校か2校は1月に受験すべきだろう。そして、その1月受験校の合否で2月の併願を変えていくこともある。 最難関校を目指す受験生たちも、受験校には「緩急をつける」ことが必要だ。難易度が高い学校と、比較的やさしい学校の両方を織り交ぜながら受験する必要があるという。2月1日の午後入試はその日のうちに合否がわかるため、受験する生徒は非常に多い。例えばZ会エクタスでは、開成の受験生の半数が2月1日の午後入試を受けている。 下記は、ある開成受験生の併願パターンだ。 1月は西大和、栄東A、栄東東大。2月1日の午前が開成、午後が巣鴨算数選抜、2日が渋谷学園渋谷(第2回)、3日が筑駒。この場合、開成と筑駒が緩急の急、つまりハードルが高い入試で、渋谷学園渋谷と巣鴨算数選抜が比較的ハードルが高くない入試となる。 巣鴨は開成と近い場所にあるから移動がしやすい。しかも1教科入試なので、体力的な負担が少ないから受験する生徒は多い。巣鴨の算数選抜は学力上位層が受験するため激戦であり、毎年、開成に合格しても巣鴨の算数選抜は残念というケースも見られる。 開成受験生の併願パターンその2は、1月は栄東東大、渋谷幕張。2月は1日が開成、2日が聖光(第1回)、3日が筑駒。2月の受験スケジュールはすべて最難関校であり、「緩急の緩がないじゃないか」というふうにも見えるが、この生徒は1月に渋谷幕張に合格していて、2月は強気に攻めているのだ。 開成受験生で、筑駒を受験しない生徒の併願パターンも紹介された。この場合、開成がチャレンジ校で第一志望となる。1月は栄東A、栄東東大特待1。2月は1日が開成、午後が巣鴨算数選抜、2月2日は本郷(第2回)、2月3日は海城(第2回)。1月に合格を決めていて、その学校に進学してもいいという意思があれば、2月はチャレンジ校と人気の難関校を受験する。 Z会エクタスの塾生のうち、麻布の受験生は1日の午後入試受験の割合が40%、世田谷学園や巣鴨算数選抜、東京都市大(第1回)など幅広く受験校を選んでいる。2日は栄光と本郷が多く、3日は海城(第2回)と筑駒が大半を占める。 武蔵は練馬区にあるため、東京都の北地区か埼玉の受験生が多いようで、1月は栄東Aと立教新座(第1回)を受ける生徒が多い。2月1日の午後の受験率は53.3%と高めで、東京都市大(第2回)、巣鴨算数選抜、國學院久我山ST、世田谷算数など幅広く選択している。2月2日は本郷(第2回)、桐朋(第2回)、栄光が多く、ほかにも巣鴨(第2回)、城北(第2回)、攻玉社(第2回)など、東京の北方面の学校を受けていて地域性が見える。3日は海城(第2回)が多いが、浅野や筑駒を受ける生徒もいる。 女子御三家を受験するZ会エクタス塾生は、1月は浦和明の星(第1回)、栄東A、市川(第1回)の順だ。それ以外で目立つところは、新規に設置された淑徳与野の医進コースを併願する生徒もいた点だ。 Z会エクタス塾生の2月1日の午後入試の受験率は37.5%で男子よりは少ないが、広尾(第2回)、東京農大一、普連土算数など幅広く受けている。2月2日は豊島岡女子(第1回)、吉祥女子(第2回)、洗足(第2回)、大妻(第2回)。2月3日は豊島岡女子(第2回)、都立国立12.5%となっている。 桜蔭を目指して勉強をしていると豊島岡女子に受かりやすくなり、雙葉と白百合は算数の出題傾向が似ているから併願がしやすい。一方で桜蔭に合格しても、豊島岡女子に進学する生徒も見られる。