タオルケットを掛けて寝ると疲れが取れない⁉睡眠コンサルタントがこっそり教える、質の高い眠りのための夏の寝具選び
熱帯夜が続く日本の夏。エアコンを使用すると肌寒いときもあり、布団はしっかりかけたほうがよいのか、タオルケットでよいのか、はたまた布団をかけるなら何を選ぶべきかなど、悩んでいる人もいることでしょう。 そこで、マンションやホテルの睡眠コンサルティングを行う、眠りとお風呂の専門家、小林麻利子さんに夏の寝具の悩みや夏布団の選び方について質問! おすすめの夏布団もセレクトしました。 【写真集】寝苦しい夜でもぐっすり眠るために。睡眠のプロが教える正しい夏用寝具の選び方
夏でも掛け布団が必要なの?
夏の上掛けといえばタオルケット、と考える人もいるでしょう。しかし、安眠を考えたら薄いタオルケットは控えたほうがベターと小林さんはアドバイスします。 「私たちは夜、寝ている間に20回ほど寝返りを繰り返します。そのため、薄いタオルケットだと、寝返りをしたときに体の遠いところに移動してしまい、早朝4時頃の最も深部体温が低くなる時間帯に寒くて目が覚めてしまうことがあります」(小林さん) 現代では、翌日に疲れを残さないよう快眠するためには、室温26度をキープできるように一晩中エアコンをつけることが推奨されています。エアコンをかけていても寝入りのときにはタオルケットで十分と感じるかもしれませんが、朝方の肌寒さを防ぐために薄手の布団やキルトケットを用意しておきましょう。
冷感素材、なぜ「ひんやり」するの?
夏の掛け布団を探しに行くと、接触冷感素材のものを目にすることも多いでしょう。接触冷感素材とは、熱伝導率の高い繊維を使用することで、肌に触れたときに体温をすばやく奪い、ひんやりとした感触を与える素材を指します。 どの程度ひんやり感じるかは、「Q-max(最大熱吸収速度)」という数値で示されます。JIS規格ではQ-max0.1以上が接触冷感とされ、Q-maxの値が大きいほど、よりひんやりと感じるということ。 接触冷感素材にはレーヨンやポリエステルのほか、 Q-max値が0.35~0.4と高い麻、Q-max値が0.3程度の絹も用いられます。
夏布団の正しい選び方
それでは、どんな夏布団を選べばよいのか、夏布団の正しい選び方を小林さんに伺いました。第三者機関を通して検証されている商品だと安心感が格段に上がるそう。 ①寝返りしても体から離れない厚み タオルケットのような薄い上掛けでは、寝返りしているうちに体から離れ、朝方に肌寒くなってしまうのが問題点。これを解消するためには、ある程度の厚さがあるものを選ぶのがポイントです。 「布団かタオルケットの2択であれば、もちろん布団がおすすめですが、綿麻のキルトケットもおすすめです。中に綿や麻の詰め物が入っているキルトケットは、厚さがあるため寝返り対策にも安心。 シングルサイズよりセミダブルサイズなど少し大きめを選ぶと、体にまとわりつき、少し寝返りをうっても体から離れにくくなりますよ」(小林さん) ②汗を逃がす素材 深い眠りに入る際、深部体温がぐっと下がり、その際に放熱のために発汗します。「朝までぐっすり眠るためには、この汗をいかに外に逃がすか、がポイントです」と小林さん。 気を付けておきたのは、安価な接触冷感素材は、ポリエステル系の素材が多く、汗を外に逃がす機能が低い場合も多いということ。 接触冷感素材を選ぶなら、少し高価になっても、汗を外に逃がす素材が使われているタイプを選んだほうが長く愛用できそうです。 ③天然素材100%がベター ②の汗を逃がす素材という点でもおすすめなのが、綿や麻などの天然素材100%の布団です。 綿や麻の天然素材100%の布団は、通気性や吸水性、放湿性に優れているため、大量の汗をしっかり逃がす機能があります。 「また、安眠するためには、リラックスして副交感神経を優位にさせることも欠かせません。そのためにも、肌触りのよいものを選ぶ必要があります。天然素材100%であれば、肌触りも優しいですよね」(小林さん) 布団の外側の生地をである「側生地」は、綿100%でもガーゼ素材で肌触りが優しいものがおすすめ。中綿は綿や麻のほか、ダウンを選択するとよいでしょう。 ④丸洗いできる 一晩にコップ1杯以上の汗をかくため、そのままにしておくとカビやダニなどの原因に。丸洗いできる布団を選び、清潔な寝具で眠りましょう。 ⑤夏だけでなく春や秋にも使えるもの 「寝室の適温は1年を通して20~26度。26度を上回るようなら冷房をつけ、20度を下回るようなら暖房をつけて調整します。そうなると、寝具は夏だけでなく、春から秋まで使えるものがベストです」(小林さん) 4月でも25℃を超えたり、10月に入っても残暑が厳しい日もあるため、コスパを考えると、他の季節にも使用できる布団がベスト。布団はかさばるため、収納場所を考えても長いシーズン使えるものを選ぶのがおすすめです。