中学受験で「平均偏差値-4」の安全校決める方法 学校説明会・文化祭から「子の学校生活」を想像
受験パターンの構築では早期に「合格」を確保
2月1日から東京・神奈川の私立中学入試が開幕する。11月は、中学受験に挑む小学校6年生にとって入試直前期。そして、受験生の保護者が頭を悩ませるタイミングでもある。スタジオキャンパス代表の矢野耕平氏は、「Web出願が一般化してから、保護者が受験校を最終決定する時期が遅くなったと感じる」と語る。わが子の受験校をどう選び、どのような受験パターンを構築するか。親子ともに後悔のない受験にするために、矢野氏は学校説明会と文化祭を最大限に活用すべきだと語る。 【表】受験校を「挑戦校」、「実力相応校」、「安全校」に分ける基準 中学受験生の保護者は、胃の痛い日々を過ごしているころかもしれない。わが子の模擬試験の結果が次々と返却され、その数値をもとに受験校を悩んでいる人も多いだろう。よくも悪くもネットが普及し、この学校は受験生が増えそう、あるいは減りそう、といった情報も入ってくるため、気が気でないかもしれない。 さて、首都圏の中学受験は依然として厳しい世界だ。見事第1志望校に合格できる子よりも、その夢が叶わない子どもたちのほうが圧倒的に多い。全員が全員、中学受験を「後悔なく」終えるのは不可能である。それでも私は、受験校の選定次第で「後悔」を軽減できる可能性があると思うのだ。 具体的にはまず、わが子の秋の模擬試験の平均偏差値を尺度に、受験校を「挑戦校」「実力相応校」「安全校」に分類する。 そして実質倍率が落ち着く2月1日午前、2月1日午後、2月2日午前のどこかに「安全校」を組み込み、合格を確保するのだ。たとえ第1志望校が不合格になってしまっても、「安全校」に合格していれば、そのことが2月3日以降の入試を闘う気力や意欲を授けてくれる、と私は考えている。
わが子にとって魅力ある「安全校」を探す
中学受験の「後悔」を軽減する方法はいたってシンプルで、親子ともに「ここなら中高6年間通いたい」と思える「安全校」を見つけることだ。 「安全校」となる学校は当然、偏差値一覧表における偏差値レベルは下がるだろう。しかし、中高一貫校の価値は偏差値だけでは決まらない。もちろん、偏差値の高い学校は、いわゆる“一流大学”への進学者は多いはずだ。しかし、「その学校に入れば一流大学に進学できる」と約束されるわけではない。しょせん、合格実績はよその子どもたちの結果であり、わが子が同じ道をたどれる保証はどこにもない。これは、どの学校でも言えることだ。 そこでいったん、偏差値や合格実績という尺度を外して学校選びをしてみてほしい。そうすればきっと、わが子が6年間楽しく通えそうだと心から思える「安全校」が見つかるだろう。2月1日まで、2カ月以上ある。まだ間に合うので、保護者は「魅力ある安全校」を探すためにぜひ行動してほしい。 具体的には、わが子の秋の模擬試験から4科平均偏差値を算出し、偏差値一覧表を見て、その数値から黒ペンでまっすぐ横線を引く。さらに、そこから偏差値「-4」のところに、色ペンでまっすぐ横線を引く。色線より下の学校からいくつか気になるところを見つけたら、それらの「学校説明会」や「文化祭」の情報を活用してほしい。 学校説明会 学校説明会は、あくまで保護者が対象だ。親としてはつい、あれもこれも知りたくなるところだが、次の軸を設けてみてはどうだろうか。「この学校は6年間の中高一貫教育で、どのような子どもたちを育てたいと望んでいるのか」。シンプルながら、学校選びにおいて1番大事にしたいことでもある。この学校で、わが子が6年間の学校生活を謳歌している姿を思い描けるかどうか。この視点を持って複数の学校説明会に参加すると、各学校の差が顕然とするだろう。 文化祭 文化祭は「内輪ノリの場」あるいは「外向けのイベント」なので、なかなか普段の学校生活をうかがい知るのは難しいかもしれない。それでも、教員と在校生の関係性や、在校生たちの表情や言動から、少なからずどんなタイプの子に向いた学校かは見えてくるものだ。なにより、文化祭の活気を感じることで、子ども自身が「この学校だったら通いたい」という気持ちを持つかもしれない。