東京都は「黒塗り」、神戸市は「白塗り」…行政が秘匿し続ける公文書“のり弁”問題の理不尽さ
小中学生は500円から1800円?…神戸市立須磨海浜水族園の建て替え計画
同じく水族館の建て替え計画が問題になっているケースが、もうひとつある。関西在住の人なら一度は聞いたことがあると思われるのが、兵庫県神戸市の水族館騒動である。 2017年、神戸市は、長年「スマスイ」の愛称で親しまれていた市立須磨海浜水族園を完全民営化して建て替えることを決定した。 1957年に開設されてから60年が経過し、施設の老朽化によって修繕費が多額にのぼることが見込まれることから、思い切って新しい施設の建て替えを決断。 その際に、周辺の公園や宿泊施設も含めて民間事業者に再整備を委ねることで、自治体の負担を最小限に抑えつつ、市民が楽しめる最新の設備やアトラクションを導入することで、より大きな成果が得られる民活のお手本となるケースだとみられていた(2024年6月「神戸須磨シーワールド」としてオープン)。 公募の結果、2つの事業者グループから提案を受けた神戸市は、2019年9月にサンケイビルなど7社による共同事業体を優先交渉権者に決めた。 優先交渉権者の提案によれば、周辺の約10万㎡に約370億円をかけ、西日本で唯一シャチがみられる水族館、イルカと触れ合えるプール付きホテル、子育て支援施設を備えた松林の公園などを整備。 開業時の水族館の総水量は改修前の約3倍の約1万5000トンとなり、全国5位の規模。年間の入場者数は18年度の110万人に対し、開業時の24年度は250万人、25年度以降は平均200万人を想定しているという(2019年11月28日・毎日新聞)。 ところが、そんないいことずくめの計画には、とんでもない落とし穴が潜んでいた。まもなく、市民が負担する入館料が建て替え前の3倍前後になることが判明したのだ。 リニューアル後、18歳以上は1300円から3100円へ、15~17歳は800円から3100円へ、小中学生は500円から1800円へ、無料だった未就学児のうち4~6歳は1800円へと、それぞれ大幅値上げ。小中生が公共施設などを無料で利用できる「のびのびパスポート」の対象からも外れることになった。 小中学生が現行の500円から4倍近くの1800円になることについての市民の反発は大きく、料金見直しを求めて、署名活動がさかんに行われる事態にまで発展したのだった。 そうした市民の声に対して神戸市は、集客力のある施設にしようとすれば、入館料はある程度高くても仕方ないとして、値上げ分は、市民向けの割引プランの導入を事業者と協議していくことで対応したいとしていた。 筆者は、神戸市に対して、入館料設定の根拠となった情報を開示請求してみたところ、優先交渉権者に選定された民間事業者グループの提案書がまるごと開示された。