じつは男性も気を付けたい…女性と違って気づきにくい「男性の更年期障害」の実態
日本は今、「人生100年」と言われる長寿国になりましたが、その百年間をずっと幸せに生きることは、必ずしも容易ではありません。特に人生の後半、長生きをすればするほど、さまざまな困難が待ち受けています。 【写真】じつはこんなに高い…「うつ」になる「65歳以上の高齢者」の「衝撃の割合」 長生きとはすなわち老いることで、老いれば身体は弱り、能力は低下し、外見も衰えます。社会的にも経済的にも不遇になりがちで、病気の心配、介護の心配、さらには死の恐怖も迫ってきます。 そのため、最近ではうつ状態に陥る高齢者が増えており、せっかく長生きをしているのに、鬱々とした余生を送っている人が少なくありません。 実にもったいないことだと思います。 では、その状態を改善するには、どうすればいいのでしょうか。 医師・作家の久坂部羊さんが人生における「悩み」について解説します。 *本記事は、久坂部羊『人はどう悩むのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです。
男女ともにある更年期障害
更年期障害は性ホルモンの減少によって生じる障害で、女性ばかりでなく、男性にもあります。 女性の場合は、閉経によって女性ホルモンの分泌が急激に減り、ホルモンのバランスが崩れるため、さまざまな症状が現れます。多いのは頭痛や肩凝り、イライラ、ほてりやのぼせで、日常生活に差し障りのないものから、仕事を休んだり、寝込まなければならないものまであります。 あらかじめわかっていても、想定以上に不具合が続くと、憂うつになったり、苛立ちが高じたりして、精神の健康に悪影響を与えることがあります。逆にいうと、よりひどい状態を想定しておけば、耐えやすいということです。 その意味では、男性は情報不足のため、原因不明の心身の不調と捉えて、ストレスを増大させる危険があります。 男性の更年期障害は、男性ホルモンの減少によるものですが、女性の閉経のように目安がないので、気づくのが遅れる場合もあります。 症状としては、女性の場合と同じく頭痛やめまい、不眠などの神経症状、ほてりや発汗、動悸などの血管運動神経症状、吐き気や胸焼け、便秘や下痢の消化器系症状があります。 私自身も五十代には異常な発汗がありました。それも都合の悪いときにかぎって現れ、たとえばお客を案内する店が見つからなかったり、講演で話が途切れたり、何かをごまかそうとしたときに、夕立に遭ったのかと思うほど汗が流れました。これではうそをついたらすぐにバレるなと自戒した次第です。 幸い、今は軽快したので少し安心しています。 さらに連載記事<じつは「65歳以上高齢者」の「6~7人に一人」が「うつ」になっているという「衝撃的な事実」>では、高齢者がうつになりやすい理由と、その症状について詳しく解説しています。
久坂部 羊(医師・作家)