【ABC特集】「さよならなんですけど、ずっと永遠に僕らの心の中に残る」 妙見ケーブルが63年の歴史に幕
最後の朝
そして迎えた、妙見の森「最後の朝」。鉄道ファンや地元の住民が駆けつけ大賑わいです。 (最終日に来た女性) 「やっぱり思い出があるのでね。ありがとうという感謝の気持ちで来ました」 (小学生女の子3人組) 「3回くらい来た。もっと乗りたかったな」 午前9時、満員の始発車両が出発しました。家族で10年以上通い続けた西中さん一家の姿もありました。長年の思い出が詰まった場所。これまで撮り続けてきた写真も、この日が最後の1枚です。
妙見の森ケーブル最後の日、車内は常に満席です。景色を目に焼き付ける人や、動画や写真に収める人。それぞれが、思い思いの方法で楽しみます。 (退院して5日目という女性) 「今日はもう最後だから。私、実は退院して5日目なんだけど、最後だから乗っとこーって感じで。私車がないから。もう来られへん。ほんまの今日が最後かもわかれへんね。年齢も年齢やし」
最終日も土谷さんは大忙し。業務の合間を縫ってあるものを見せてくれました。ケーブルカーを動かす巻き上げ機です。実はケーブルカーが最初に開業した1925年(大正14年)当時のもの。ロープの端と端に車体が取り付けられていて、井戸のつるべのように上がったり下がったりするそうです。
終了の時間が刻一刻と近づいてきます。西中さんたちも車両の最後の姿を見守るため、麓におりてきました。土谷さんも最後の仕事です。折り返し車両に乗り込み山頂へと向かいます。 (土谷さん)「最後までたくさん乗られましたので、そこは事故無く終われてよかったなーとも思いました。皆さんの思い出は季節ごとにまたふと思い出していただいたらいいかなーと思います」 そして、最終のケーブルカーが到着します。別れを惜しむお客さんが多くいたため予定より1時間延長、午後6時に営業を終了しました。
(西中さんの長女・愛理さん) 「今まで妙見の森にお世話になったので、その気持ちを伝えました」 (西中健史さん) 「ちょっと涙が出そうと言うか。さよならなんですけど、ずっと永遠に僕らの心の中に残るので、写真を見てビデオを見てあのときはこうだったなと。この子たちに子供が出来て、孫が出来たらそんな話が出来たらなと思います」 多くの人に愛された妙見の森ケーブル。63年間の歴史に幕をおろしました。