ヤマハY-AMTとホンダE-クラッチを比較試乗! スポーツバイクの楽しさをよりアップするのはどっち?
MT-09 Y-AMTがアシスト&スリッパークラッチ不採用のワケ
ほかにも、ヤマハのY-AMTとホンダEクラッチでは、特に、コーナー進入時に、減速しながら高いギアから一気に低いギアへシフトダウンした時の安定性が高いことも印象的でした。いずれも、過度なエンジンブレーキなどが発生せず、後輪がホッピングするなどの挙動が出づらいのです。 ちなみに、MT-09 Y-AMTは、ベースとなったスタンダードのMT-09に採用しているアシスト&スリッパークラッチをあえて外しているそうです。理由は、ヤマハの開発者いわく、元々MT-09には電子制御スロットルを搭載しており、MT-09 Y-AMTでは、シフトダウン時にシステム上でエンジン回転数を制御し、過度なエンジンブレーキなどを抑える設定にしているのだとか。 ただし、そうした電子制御システムとアシスト&スリッパークラッチを両方装備すると、それぞれの制御が干渉しあうなどで、うまく作動しないケースも出てくるのだとか。そのため、MT-09 Y-AMTでは、電子制御システムのみを活かしているのだそうです。 CBR650RやCB650RのホンダEクラッチ搭載車は、いずれも電子制御スロットルはなく、シフトダウン時の過度なエンジンブレーキなどにはアシスト&スリッパークラッチで対応。つまり、より「電動化」されているのはMT-09 Y-AMTの方だといえます。このあたりは、ひとクラス上で、価格もより高い900ccクラスならではの優位性といえるかもしれません。
極低速のUターンではY-AMTの安心感が上
発進時はMT-09 Y-AMTがやや有利、コーナーでの進入や立ち上がり時などのシフト操作などではほぼ互角。そんな印象の両システムですが、極低速域では、MT-09 Y-AMTの方がスムーズに走れる印象でした。 例えば、細い路地などで、5km/h以下の極低速でUターンするとき。ホンダE-クラッチ搭載車では、車体がややギクシャクし、バランスを崩しそうな場合もありました。こうしたシーンでは、アクセルをほんの少しだけ開けるのですが、ちょっと開けすぎると、パワーがドンッと出てしまうためです。そのため、手動で半クラッチ操作をした方が、よりスムーズに走れる感じでした。 一方、MT-09 Y-AMTでは、極低速域にもシステムの制御が入っているのか、ほぼ止まる寸前のような低い速度でも車体がギクシャクしません。特に、変速がフルオートになるATモードにしておけばかなり安心。変な挙動は一切出ずに、アクセルとブレーキの操作などで、車体のバランスを取ることに集中できます。