【有馬記念】ドウデュース取り消しを坂口正大元調教師が解説「勇気ある決断」
有馬記念(G1、芝2500メートル、22日=中山)の出走を取り消したドウデュース(牡5、友道)について、日刊スポーツ評論家の坂口正大JRA元調教師(83)がその理由となった「右前肢ハ行」と陣営の決断について解説した。 【写真】ドウデュースの昨日の様子は… ◇ ◇ ◇ 「右前肢ハ行」はいわゆる右前脚の歩様の乱れです。追い切り後やレース後になりやすく、レースでジョッキーがゴール板を過ぎた後に下馬したりするなど、乗っている人は違和感がすぐに分かります。 筋肉が温かいうちは痛みが出にくいですが、筋肉が冷めると痛みが出てくるので、追い切りから1、2日後に症状が出ることも多いです。レースまでに間隔があれば注射などで治療できますが、出馬投票後はその治療ができません。なので、出走取り消しになることが多いです。 今回のドウデュースの取り消しは残念でなりませんが、この決断には大きな勇気が必要となります。今年の皐月賞を思い出してほしいですが、ダノンデサイルは馬場入場後にゲート裏で競走除外となりました。横山典弘騎手が違和感を申し出て、右前肢ハ行が判明しました。勇気がいる決断でしたが、これによって大きな故障につながらず、続くダービーを勝ちました。 ドウデュースもレースこそ今回がラストの予定でしたが、その先には十数年の種牡馬生活が待っています。過去にはライスシャワーやテンポイントなどの名馬が、レース中の故障に見舞われた例もあります。私も何度も経験してきましたが、出走をやめるということは非常に勇気が必要です。あとあと大変なことになってからでは遅いですし、この決断は大きな意味があると思います。(JRA元調教師)