牛丼3社に考える~人気のカウンター席の特徴とは
牛丼店のパフォーマンス
思い起こせば以前は牛丼店も目の前で牛肉をおたまですくいつゆをかける様子を見せている店舗が多かった。ご飯にのせるまでの慣れた手際のよい早業で、注文から1分かからず提供できるなどのパフォーマンスをメディアでも流していた。 牛丼店もパフォーマンスがある新メニューの導入や、仕込み作業にパフォーマンスを入れる、ご飯にパフォーマンスを投入するなど、工夫次第でカウンター席にもZ世代が敬遠しない方向は可能なのではないだろうか。
カウンターの高さに客の心理が表れる
また、こうしたパフォーマンス力だけはなく、カウンターのテーブルの高さも客が「落ち着く、落ち着かない」と思う理由として重要ではないだろうか。ラーメン店も寿司店も、おにぎり店もほとんどの店のカウンターは、一段下がっている。店側ができた料理をカウンターに置く場所から一段下がったところに実際のテーブル(カウンター)がある。そのため例えば客がラーメンを前かがみにしてすすっていたとしても、顔自体は段差によって見えにくい。 いっぽう昨今の牛丼店は、その「一段下」がないのである。まさに牛丼をかきこむ様子が丸見えなのである。牛丼チェーンも店舗によってはテーブル席を増やしているので、若い女性はおおむねテーブル席で食べている。 パフェやかき氷、スイーツ専門店で、Z世代や女性はカウンター席に嫌がらずに座る。このような店では、人との会話がなくても目の前のスイーツと会話しながら食べているのだ。料理と向き合うことで楽しく、居心地が悪くもないのだ。 牛丼は素早く食べて客数を増やすのを基本としている。しかし客が向き合いたくなるメニューを作ることも、新たな展開のきっかけになるかもしれない。(食の総合コンサルタント 小倉朋子)
日本食糧新聞社