「退職代行」業者から連絡、大企業の約 2割が経験 人材確保に「賃上げ」、「休日増」などで対抗
2024年 企業の「人材確保・退職代行」に関するアンケート調査
「退職代行」業者から退職手続きの要請を大企業の約2割(18.4%)、中小企業の8.3%が経験していることがわかった。全体では約1割の企業が経験しており、社員の退職代行の利用が広がっている。 一方、社員を引き留める施策では、「賃上げ」が7割強と突出し、賃上げ以外では休暇日数の増加や、社内レクリエーションを実施する企業が多かった。SNSの急速な普及で容易に職場環境を比較できるほか、複雑な人間関係、働くことの意識の変化で、退職ルールもこれまでの“常識”が通じなくなってきたようだ。 東京商工リサーチ(TSR)は6月3日~10日、企業を対象にインターネットで「人材確保の施策」と「退職代行」についてアンケート調査を実施した。 社員が「退職代行」業者を利用した退職は、全体で9.3%の企業が経験している。規模別では大企業が18.4%、中小企業は8.3%で、大企業ほど「退職代行」が広がっていることがわかった。 新規採用や離職防止の人材確保への取り組みでは、「賃上げをした」が大企業の84.9%、中小企業で72.2%だった。また「休暇日数を増やした」は中小企業が25.2%で、大企業の17.7%を上回った。中小企業は劣勢に立つ採用活動で休暇増を前面に打ち出し、競争力を高めているようだ。 だが、賃上げや休暇日数の増加も、退職を止める決定打にはなっていない。少額で退職時の煩わしさを省ける退職代行業者の登場で、退職の心理的ハードルは下がっている。また、転職や雇用の流動化を促す論調も根強く、空前の人手不足を背景にした売り手市場が続いており、企業の人材確保は新たな局面を迎えている。 ※ 本調査は、2024年6月3日~10日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答5,149社を集計、分析した。 ※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義。人材確保と退職代行に関するアンケートは今回が初めて。