認知症の治療に加わる3つの新薬…11月20日から適用
根治の未来が見えてきた
現在、アルツハイマー型認知症でわかっているのは、症状が出る20年以上前からアミロイドβが脳にたまりはじめ、次にタウタンパクが蓄積・凝集するようになり、やがて神経細胞の変性が起こり死滅。脳が萎縮してアルツハイマー型認知症に至るということです。 つまり、認知機能低下などの症状が出る20年以上前から、アルツハイマー型認知症の「芽」が出始めている。脳の検査で脳の萎縮が確認されてからアミロイドβを除去する薬を投与しても遅く、そのもっと前から薬を投与しなくてはならない。薬の開発とともに、いち早くアミロイドβの蓄積がわかる検査の開発も行われるようになりました。そして現在、アミロイドβの蓄積を調べられるアミロイドPETが登場し、アミロイドβを除去する薬も承認、アルツハイマー型認知症の根本治療へとつながる両輪が揃ったわけです。 レケンビとケサンラは作用機序は同じですが、ターゲットが異なります。レケンビはアミロイドβが大きな塊になる前に働きかけ、ケサンラは大きな塊になってから働きかけます。レケンビもケサンラも、これまであったアリセプト(1年ほどすると効き目がなくなる)と異なり、効果が持続します。臨床試験では、レケンビは18カ月間の投与で進行を7.5カ月抑制、ケサンラは5カ月以上の進行抑制という結果が出ています。レケンビとケサンラの比較試験は行われていないので、それぞれの臨床試験の結果に差があるものの、「どっちの薬の方が優れている」ということを示すものではありません。 副作用については、どちらも脳の中に一時的に浮腫が出たり小さな出血が起こるARIA(アリア)が報告されています。ごくまれに重い副作用が出ることがあるため、定期的にMRIを行うことが定められています。ケサンラの方がレケンビより、その頻度がやや注意深く定められています。 次回も、レケンビとケサンラについてお話ししたいと思います。 (新井平伊/順天堂大学医学部名誉教授)