「半導体ではどの国も独立は不可能」 欧州3社のCEOが強調
EV市場への見解は
欧州でのEV市場への見解についてHanebeck氏は、中国においては、NEV(新エネルギー車)が新車販売の50%以上を占めるなど電動化が確実に成長していることに言及した上で、「西側では大きく異なる」と説明。2035年までにエンジン車の新車販売を禁止する規制について「現在大きな議論となっている」と触れ、「二酸化炭素削減は絶対に必要だが、その方法は『2035年に廃止』と規定するのではく、もっとオープンであるべきだ」と述べた。同氏は電気自動車で課題となる航続距離や充電インフラ不足の問題も、例えばプラグインハイブリッド車であれば解決可能であるとも強調。二酸化炭素削減という目標に向けた適切なアプローチの必要性を訴えるとともに、Eモビリティの成長再加速への期待を示していた。Chery氏も「われわれは非常に現実的でなければならない」としつつ、「過去のどんな高成長イノベーションもいくつかの乱気流があった。Eモビリティには多くのイノベーションがあり、短期的に困難に直面しているからといって、電動化に関するわれわれの強い取り組みを否定するものではない」とした。 Sievers氏は、そもそもEV市場の中心はアジア/中国であり、EV市場の成長は堅調であるという点を強調。「自動車市場としての中国は、欧州と米国の合計と同じくらいの規模であり、ドイツや米国東海岸がどうといった議論は大きな影響を与えない」と語った。この中国市場の重要性については他2社も同意し、それぞれ自社の立ち位置や中国戦略について強調していた。
「半導体において、どの国も独立は不可能」
なお、モデレーターからは、米国大統領選挙の結果を受けた半導体業界への影響に関する質問も出た。各氏とも選挙結果に関する直接的なコメントは避けたが、Hanebeck氏は、半導体業界で重要な要素として、規模とイノベーションの速度の2つを挙げた上で、分断はこの2つを危険にさらしていると指摘。さらに「危険なのはこの分断が加速することだ。分断は供給側で起こっていて、関税導入があれば、さらに悪化する可能性がある」とも述べていた。Chery氏も、中国や西側諸国が半導体を生産するために別々のサプライチェーンを構築することは、非常にコストがかかると指摘。Sievers氏も「半導体の最大の潮流は世界規模であるということだ。産業として、われわれはグローバル化の最大の恩恵を受けてきたといえる。半導体に関しては、この世界のどの国も独立することはできない。仮にできた場合でも、チップを使用するデバイスは消費者が購入できないほど高価になるだろう。時間が経てば、全ての政府がそれを理解すると確信している」と語っていた。
EE Times Japan