「子どもを無理矢理プログラミング教室に通わせる必要はない」…大学教授が解説"小中高での必修化"本当の価値
■「誰もがプログラミングをできるようになるべき」とはいえない こうしたプログラミング体験の機会が必修化された一方で、問題は、誰もがプログラミングができるようになるべきだ、という論調だろう。 これから社会人にはプログラミングは必須のスキルになる、と煽る記事や動画はすぐに見つかるが、本当にそうだろうか。 少し考えればわかるが、世の中にはさまざまな仕事があり、全ての仕事でプログラミングができるようになる必要はない。 たしかに、ホワイトカラーの一部はプログラミングができた方がいいとは思うが、では経営者も含めて全てのホワイトカラーにプログラミングが必要かというとそうでないのは自明だろう。 小中高でのプログラミング教育の必修化は、機会の平等であって、だれもが高校卒業時にプログラミングができるようになるという結果の平等は目指すべきではないし、実現できるとも思えない。 それは、全ての子ども達を高校卒業までに、逆上がりができて、50m走を10秒以内で走れて、日常英会話ができるようにする、というのと同じだからだ。 ■無理矢理子どもをプログラミング教室に通わせる必要はない だとすれば、高等学校学習指導要領の建前は別として、情報Iの内容が理解できないまま高校を卒業することがあっても不自然ではないし、人には向き不向き、好き嫌いがあるのだから、その人なりの向いていて、好きなことが見つかれば問題はないはずだ。 そうやって考えれば、小さな時から、子どもの向き不向き、好き嫌いを考えずに、これからはプログラミングだ、という風説に惑わされて子どもを無理矢理プログラミング教室に通わせる必要がないことは明らかだ。 現に、一部のプログラマーが小学校からプログラムをやっていたというケースはあるにしても、プログラマーのほとんどは大学以降でプログラムを始めたことが圧倒的に多いはずで、それがいまでは高校で必修化されているのだから、高校でやってみればいいだけだ。