肝臓破裂で生死をさまよったガリガリ少年が12年で激変、「心身ともに崩壊しても人生はいつからでも変えられる」
■筋トレ後に変化した周囲の評価と内面「体を変える過程が自分自身を強くした」
――“いじめ”がエスカレートする中、トレーニングを重ねた? 「自分を変えたい、その強い気持ちが僕を動かし続けました。どれだけ恥ずかしくても辛くても継続することだけはやめませんでした。継続していたら、どんどん体の変化が出てきて、いつの間にかサッカーそっちのけで筋トレにのめり込んでいました」 ――筋トレを続けたことで、周囲とご自身にはどのような変化がありましたか? 「体が変わり始めて周りからはいじられることが減り、褒めてもらうことが増えるようになっていきました。ずっといじられてきた体型が褒められる。それがとても嬉しく、もっと変わりたい、もっと周りの人から褒められたいと思うようになり、筋トレがどんどん楽しくて仕方なくなっていきました。そして5年経って今では自分に自信を持てるようになり、自分を好きになることができました。まだまだ体に悩みはあるし、理想には程遠い。周りと比べればまだまだ細い方ですしいまだに細いって言われることもあります。それでも一度死にかけて30kg台まで痩せた僕が、今の体まで変われたのはすごい自信に繋がったし、ここまでの過程が自分自身を強くしたんだと思います」 ――近年は「ルッキズム」など、外見に対する偏見や差別に厳しい目が向けられています。体型への「いじり」について、どのような想いがありますか? 「仲間うちの愛情があるいじりは、まだ受け容れられる範囲だとは思います。ですが、それでも外見のことを言われた相手が傷つくこと、劣等感を持つことを知って欲しいですね。軽い“いじり”でも、蓄積することによって、大きなダメージになることもあります。僕も心身ともに崩壊しかけた時期は、ただ人と話すだけで恐怖を感じる日々でした。人生なんてもうどうでもいいほどに追い詰められていました」 ――そんなSINGOさんが、今では、筋肉のエキスパート、パーソナルトレーナーとして働いています。今後の展望をお聞かせください。 「僕は筋トレをして、ガリガリだった体を5年で大きく変えることができました。大学在学中に、食事やトレーニングについて勉強したことで、それを仕事にすることもできました。1人で悩みやコンプレックスを抱え、今の自分を1ミリでも変えたいと思っている人がいたら、トレーニングを通じてサポートできるようになりたいと思っています。心身ともに崩壊しても人生はいつからでも変えられる、と僕は信じています。今後も、パーソナルトレーナーとしての指導のほか、SNSを通じて筋トレ方法などの情報を発信していきたいと思っています」 (取材・文/福崎剛)