元ファンドマネジャーが明かす「この7月にとったプロの運用の手のうち」円高・株安をくらっても「ほぼ動じない」納得の理由
こんにちは、元機関投資家・ファンドマネジャー、現在は文筆業兼個人投資家の澤田です。資産運用は順調ですか? さて、前回までシリーズの形で現在の運用形態に辿り着いた経緯をご説明しました。今回からは定期的に何を見て何をやったか、実際の投資行動についてご説明していきたいと思います。よろしくお願いします。 (参考)グローバル三分法のアセットアロケーション 株1/3(日本株約10%、外国株約20%) 債券等1/3(社債10%、外債10%、預金等20%) 不動産1/3(居住用不動産20%、REIT10%)
2024年1月から6月に「利益を順調に出せた」要因とは?24年前半の振り返り
2024年前半は農耕的投資スタイルにとって望ましい相場展開でしたね。株価が上昇しながらボラティリティ(価格変動率、VIX指数で見ています)が低下する、一昔前のゴルディロックス相場を思い出します。 2023年末に日本政府による為替介入があり、一時的に円高になりました。為替介入については、経済政策の方向性と介入の方向が一致していると効きやすいです。資本主義の開放経済下では政府が取りうる政策として財政、金利、通貨の3政策がありますが、そのうち二つを選択すると残りの一つは市場に委ねなければ歪みが生じて強制的に調整される、といった側面があります。外貨準備だけでは為替市場は支えきれない、ということですね。 ドル円市場について考えてみると、日米はともに財政拡張、金融政策は米国は緩和に向かいながら日本は引き締めを開始しています。半年後には現在5%ある金利差が4%に縮小している姿でしょうか。もちろん金利が4%あれば米国金利が魅力的なことに変わりありませんが、昨年末同様、短期的にはドル売り円買いの為替介入は効きやすい状況にあると思います。
元ファンドマネジャーが「7月にとったアクション」4つ
前回ご紹介したグローバル三分法(こちら)はもちろん継続しています。ライフプランに大きな変更がなければずっとそのままだと思います。1-6月の期間で円安と株高が進んだことで、アセットアロケーション(こちら)における外国株の比率が上昇しました。そこで、7月に入ってから以下のリバランスを行いました。 1・比率が上昇した外国株のリバランス アセットアロケーションが1%以上ずれたらリバランスすることにしています。保有するETFや投信を売却すると利益が大きく出るため、税負担を考慮して米国株の先物を売り建てしました。また、半導体関連株の割高感が強いと考えて、フィラデルフィア半導体指数に逆連動するETFを購入しました。 2・償還を迎えたドル建て社債の扱い ドル円市場が160円を超えたところで為替介入があり、前述のとおり介入が効きやすいポリシーミックスであると判断して、158円程度でFXでドル売りをしました。米国のイールドカーブ(利回り曲線)は短期から中期にかけて逆イールドで、3-5年の社債利回りは短期金利を下回っています。米ドルはドル預金にして、子どもの海外学費に充てる予定です。 3・JREITの買い増し 他の資産に比べてパフォーマンスが劣後したJREITを追加購入しました。社員のオフィス回帰や新卒社員の採用に向けたオフィスのアップグレードは続くと思いますが、コロナ下で(ホワイトカラーの心の中に)定着した在宅ワークは不可逆だと考えていることから、オフィスリートを除いた他のセクター(住宅、物流、商業施設)のリートに追加投資しました。 4・リバランスではないけれど 外国株のリバランスで触れましたが、半導体関連株に行き過ぎ感があると考えておりますので、同銘柄群の影響度合いが強い日経平均先物を売り建てして、投資家から見放されている小型株(東証グロース250採用銘柄)を10銘柄ほど購入するロングショート戦略を組み入れました。 以上、皆様のご参考になればと思います。