コストコが全国一律時給1200円以上でアルバイトを募集する理由
アメリカ発祥の会員制倉庫型量販店「コストコ」が、アルバイト従業員を全国一律時給1200円以上で募集しており、その好待遇が話題を呼んでいる。近年コストコは地方への出店を進めており、一部地域ではコストコの時給は、地域の最低賃金と500円以上も差がついている。コストコはなぜ、全国一律で高水準賃金のアルバイト募集を行っているのだろうか。
地元の最低賃金との差が500円以上も
「コストコ」は、アメリカ・カリフォルニア州から発祥した会員制量販店だ。年会費を払うことにより、商品を格安で購入できることが人気で、世界9カ国697店舗まで拡大した。日本には1999年に初出店し、昨年までに24店舗まで拡大した。特に近年は地方への出店が著しく、2015年は山形県上山市、石川県野々市市、富山県射水市、岐阜県羽島市に進出した。今年4月には、宮城県富谷町で新店舗がオープンする。 コストコは、アルバイトの募集条件をホームページで公開しており、全国どの店舗でも募集条件は同一で、時給1200円から始まり、1000時間ごとに昇給し、最高1650円もしくは1800円になるという。
このコストコのアルバイト時給は全国一律で適用されるため、特に地方ではアルバイトの時給相場と大きく乖離することとなる。例えば昨年8月にオープンした「かみのやま店」がある山形県の2015年度の最低賃金は全国最低水準の696円で、コストコの時給とは504円の差がある。コストコの好待遇はネット上で広まり、コストコを賞賛する声が上がっている。
「高い賃金と正社員率で地域の活性化につながれば」
日本の企業は、同一職種でも地域ごとに賃金水準を変えることが一般的だが、コストコはなぜ、全国一律1200円以上という時給でアルバイトを募集しているのだろうか。コストコを運営するコストコホールセールジャパン(神奈川県川崎市)は取材に対し、次のように回答した。 「コストコでは全国どの地域の店舗でも、同じスタート時給となり、一定労働時間ごとに一定額まで自動的に昇給する制度を採っている。そのため基準となる時給は、一番賃金設定が高い首都圏を元にしており、結果としてその他の地域においては、近隣のマーケット水準をはるかに上回るものとなっている」