コストコが全国一律時給1200円以上でアルバイトを募集する理由
つまり、1200円という高い時給は、首都圏の相場に合わせた結果だという。同社は、このような基準を「グローバルスタンダードに基づくもの」と語っており、「コストコが進出している他の国においても同じルールを適用している」という。 同社は、その基準に基づいて「正社員率を50%ととても高く設定しており、高い賃金設定および高い正社員率を設けることによって、その地域の活性化にもつながればと思っております」と回答した。
地元自治体や労働者は歓迎
このようなコストコの動きに対し、地方はどのように反応しているのだろうか。今年4月にコストコの新店舗がオープンする宮城県富谷町では、従業員募集の説明会に参加者が殺到しているという。富谷町を含む地域の企業で構成される「くろかわ商工会」によれば、地域の時給相場は750円から800円ほど。コストコの時給とは400円から450円の差がある。 同町役場産業振興課の担当者は、コストコの進出に対し「若い世代の働き先となり、ありがたい。町の発展に大きく影響するだろう」と声を弾ませる。「今まで(隣の)仙台市に働きに出ていた人も地元で働くことになるかもしれない」と期待を込める。
人材確保が困難になる可能性も
コストコの高水準の賃金体系は、地域の労働市場に賃金上昇や人材確保の困難をもたらすことはないのだろうか。前述の「くろかわ商工会」の担当者は、「今のところ富谷町でそのような報告はない」と断りつつ、「一般論としては高水準の賃金に人材が集まることになるだろう」と述べた。同町役場の担当者も「将来、町内の工場などと人材獲得が競合することもあるかもしれない」と予測した。 実際に、高水準の時給で人材を募集する全国チェーンの店舗が、地域の労働市場に影響を与えた例はある。山形商工会議所の担当者は「2014年に(山形市の隣の)天童市でイオンモール天童ができた際には、イオンモールが1000円から1200円でパート・アルバイトの募集をかけ、当時700円から800円だった時給相場が上昇したり、人材確保が困難になったりした」と語る。