利上げで支払い利息が4倍超、最終利益は高水準確保-日銀上期決算
(ブルームバーグ): 日本銀行が27日発表した2024年度上期決算によると、政策金利の引き上げで当座預金付利の支払利息が急増したものの、最終利益に当たる当期剰余金は高水準を確保した。
日銀は今年に入り3月と7月に利上げし、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標は0.25%程度となった。日銀当座預金の超過準備に対する付利金利も0.25%となり、取引先金融機関などに対する上期の支払利息は3922億円と前年同期の920億円から拡大した。
一方、市場金利の上昇によって保有国債の運用利回りも上昇し、利息収入は9636億円と前年同期の8072億円から増加した。上場投資信託(ETF)の運用益も1兆2641億円と1兆1372億円から拡大。この結果、最終利益に当たる当期剰余金は1兆8357億円と前年同期の1兆9282億円からやや減少したものの、高水準を維持した。
日銀は3月に17年ぶりの利上げに踏み切り、大規模な金融緩和政策から脱却。7月には国債買い入れの減額計画も決めたが、国内総生産(GDP)を大きく上回る753兆円という大規模な資産を抱えたままだ。物価上昇を背景に、今後も日銀が利上げを続ける可能性が大きい中で、日銀財務の健全性を巡る議論が高まる可能性がある。
9月末時点の保有国債の含み損は13兆6604億円と過去最大を更新した。ただ、日銀は償却原価法で評価しているため、時価が変動しても損益には反映されない。一方、保有ETFの含み益は33兆711億円で引き続き高水準となっている。
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Sumio Ito