トヨタ「カルディナ」が王者レガシィワゴンに挑む! 価格は182.7万円~【今日は何の日?11月16日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、1989年スバルからデビューした「レガシィ・ツーリングワゴン」が開拓したツーリングワゴンブームに対応するため、トヨタの「カルディナ」が誕生した日だ。カルディナは、性能を含め全体的によくまとまったワゴンだったが、レガシィ・ツーリングワゴンの牙城を崩すことはできなかった。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・ステーションワゴンのすべて ■レガシィ・ツーリングワゴンを追走したカルディナ トヨタ・カルディナの詳しい記事を見る 1992(平成4)年11月16日、ツーリングワゴンブームに火が付いた1990年代初頭、トヨタがステーションワゴン「カルディナ」を投入した。カルディナは、スバル「レガシィ・ツーリングワゴン」を意識して追走、トヨタらしく落ち着いた雰囲気の扱いやすいスポーティなワゴンだった。 カルディナの先代は、カリーナベースのカリーナ・サーフ カルディナの先代にあたるのは、1970年に誕生した3代目「カリーナ」の派生車「カリーナ・サーフ」である。カリーナは、カローラの1ランク上のスポーツセダンだが、その3代目が1981年にデビューした翌1982年に派生車のステーションワゴン「カリーナ・サーフ」を追加した。 日本ではまだ流行っていなかったが、当時米国の西海岸で若者に人気があったステーションワゴンに目を付けたのだ。1980年代の日本では、ワゴンは商用車バンのイメージが強かったため、カリーナ・サーフはレジャーでも使えるワゴンをアピールした。 カリーナ・サーフは、角型2灯式ヘッドライトを組み込んだフロントマスクやサイドプロテクションモール、黒いドアサッシなどでスポーティかつシャープなワゴンに仕上げられた。カリーナ・サーフは大ヒットとはいかなかったが、アウトドア志向のユーザーから人気を獲得し、カルディナへとバトンを渡すことになったのだ。 ステーションワゴンブームに対応したカルディナ 1989年にデビューしたスバルのレガシィ・ツーリングワゴンは、スタイリッシュな外観とスポーティな走り、それでいて広い荷室をもつ実用性の高さがアクティブな若者から支持されて大ヒット、ステーションワゴン旋風を巻き起こした。 レガシィの成功を受けて、各メーカーから続々とツーリングワゴンが登場したが、トヨタは1992年にカルディナを投入。カルディナは、先述の通りカリーナ・サーフの後継だが、スタイルからメカニズムまで、すべてを刷新。ラウンディッシュな面で構成された伸びやかなフォルムに、パワートレインは1.8L(125ps)、2.0L(140ps)直4 DOHCエンジン、2.0L直4ディーゼル(73ps)の3種と、4速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。 車両価格は、標準グレードで182.8万円(1.8L)/200.1万円(2.0L)。当時の大卒初任給が18万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で234万円/256万円に相当する。カルディナは、堅調な販売を続けたが、絶好調のレガシィ・ツーリングワゴンの人気には及ばなかった。 2代目、3代目と続いたが、2007年に生産を終了 1997年に登場した2代目カルディナでは、高性能モデルと低燃費モデルが用意された。高性能モデルの頂点は、260psのEJ20エンジン搭載のレガシィGTに対抗するために登場した2.0L直4 DOHCインタークーラー付ターボ(最高出力260ps/最大トルク33kgm)を搭載したGT-TTだ。一方、低燃費モデルは1.8L直4 DOHCリーンバーンエンジンを搭載し、クラストップの低燃費を誇った。 2002年には3代目に移行。3代目は、スポーツ路線をさらに加速させ、フロントからロングルーフにのびる流線型で切り落としたようなテールエンドが特徴のビュレット(砲弾)フォルムが採用された。注目は、高性能2.0Lターボエンジン+フルタイム4WDを組み合わせたトップグレード「GT-FOUR」。GT-FOURは、WRCを席巻したセリカが名乗った栄光のネーミングであり、3代目カルディナがGT-FOURを名乗った最後のモデルとなった。 2代目、3代目も堅調な販売ではあったが、ステーションワゴンブームは去り、結局2007年3代目を最後に生産を終えた。 ・・・・・・・・ カルディナは、打倒レガシィ・ツーリングワゴンで登場したが、レガシィ・ツーリングワゴンの牙城を崩すには至らなかった。ツーリングワゴンとして全体的に欠点の少ないまとまったカルディナだったが、すでに市場を席巻していたレガシィ・ツーリングワゴンに対抗するには、何かプラスαが必要だったのではないか。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純