EV技術で水中翼船も電動化! カンデラC-8 ポールスター・エディションへ同乗 航続距離105km
ポールスターが積む駆動用バッテリーで航行
筆者が同乗した新モデルは陸地を走れないが、れっきとしたポールスターだった。デザインは機能的でミニマル。持続可能性へ配慮された素材が用いられ、差し色で目を引くのはゴールド。洗練されたスカンジナビア・デザインがカッコいい。 【写真】EV技術で水中翼船も電動化! カンデラC-8 BEVのポールスターたち 最新のレクサス・ヨットも (120枚) ただし、クルマではない。スタイリッシュな水中翼船だ。電動の。 それでも、しっかりポールスターらしさを感じる。スウェーデンのカンデラ社は、急成長を遂げている水中翼船のメーカー。一般的なコラボレーション以上に、2社は深い協力関係にあるようだ。 同社が提供する電動水中翼船には、ポールスターのバッテリーEVが積む駆動用バッテリーが採用されている。135kWの急速充電システムも同様だ。陸上と水上という違いはあっても、見事に技術提携できている。 両社が緊密な関係性になるのは、自然な流れといえた。ポールスターと同様に、カンデラ社も拠点を置くのはスウェーデン。他を凌駕する航続距離と水上速度を目指し、グスタフ・ハッセルスコグ氏によって、ストックホルムで2014年に設立されている。 最初の電動プロトタイプが完成したのは、2016年。量産は2019年に始まった。 クルマ以上に、ボートは課題は多い。穏やかな水面だとしても、水の抵抗は空気以上に大きい。高速で船体を進めるには、膨大なエネルギーが必要になる。水に浸かる部分を小さくすることが、航続距離を伸ばす手っ取り早い手段といえる。
29km/hで船体が水面から約1m浮き上がる
水中翼船は、アメリカズカップで順位を争うヨットと原理は同じ。一定の速度に達すると、ボートの底面から伸びる水中翼が展開し、飛行機の主翼のように機能。水中で揚力を生み出し、船体は水面から持ち上がる。 「弊社が製造するのは、普通のボートです。それが、たまたま電動で飛んでいるだけです」。と冗談交じりに話すのは、同社幹部のミカエル・マールバーグ氏だ。 同乗させていただいた、C-8 ポールスター・エディションの場合、水上速度が約29km/h(16ノット)に達すると、水中翼が展開。船体は水面から1mほど浮き上がり、約55km/h(30ノット)の最高速度で航行できるという。 通常の巡航速度は、約40km/h(22ノット)。この速さなら、64kWhの駆動用バッテリーで、約105km(57海里)を航行できるそうだ。「目標は、普通のボートと同じ性能を得ることでした」。マールバーグが続ける。 カンデラ社は、様々な船体を提供しており、C-8 ポールスター・エディションはその一部。定員が8名のC-7とC-8の他、30名乗れるP-8やP-12という小型フェリーも製造している。これまでに、C-8は約150隻が提供されたそうだ。 電動水中翼船の設計は簡単ではなく、自動車や航空業界からもアイデアを得たとのこと。駆動用バッテリーや急速充電システムが、ポールスター由来なこともその一端だ。そのおかげで、同社は船体の技術開発へ注力できたという。