子どもを乗せた「電動アシスト自転車」はなぜ転倒リスクが高いのか? 安全性を重視した選び方と注意点とは
電動アシスト自転車の実態
1993(平成5)年、ヤマハ発動機(静岡県磐田市)は「ヤマハPAS」を世界新商品として発売し、電動アシスト自転車(電動自転車)の普及が始まった。電動アシスト自転車は、モーターが人力を補助することで、こぎ始めや坂道などでも軽い力で安定した速度まで加速できる自転車だ。 【画像】被害額350万円オーバー! 「雹の被害」を受けた車両を見る これらの自転車は、 ・ファミリー向け ・日常使い ・通学用 など用途によって設計や装備が異なる。そのなかで「子ども乗せ電動アシスト自転車」は、チャイルドシートが標準装備されており、子どもを乗せても安定した走行ができるように車体の重心が低く、車体が長い設計になっている。 au損害保険株式会社(東京都港区)が2021年10月28日~30日に実施した「電動アシスト付自転車に関する調査」では、自転車利用者の17.6%が電動アシスト自転車を所有していることがわかった。特に30代の子育て世代では22.3%が所有しており、約4人にひとりが保有している。 また、利用シーンについて調べた結果、最も多いのは「買い物」(83.6%)で、次いで「子どもの送迎」(23.1%)となっている。年代別では、30代では54.0%が「子どもの送迎」で利用していることがわかった。 では、子ども乗せ電動アシスト自転車を選ぶ際には、どのポイントを重視すべきだろうか。一児の母である筆者(小島聖夏、フリーライター)がその選び方について考えていく。
子ども乗せ電動自転車の危険性
買い物や登園時に子どもと一緒だと、 ・駄々をこねて歩かない ・できるだけ短時間で移動したい といった理由から、電動アシスト自転車を選ぶ人は多いだろう。筆者も実際、朝は時間がないし、子どもがぐずるからという理由で電動アシスト自転車で登園していた。 しかし、便利な電動アシスト自転車もときには危険をともなうことがある。筆者はある日、登園中に交差点を走行していた際、子どもを乗せたままバランスを崩して転倒してしまった。幸い、車通りの少ない交差点だったため大きな事故には至らなかったが、後ろのチャイルドシートに座っていた子どもは地面にぶつかってしまった。 このように、子どもを乗せているとひとりで走行しているときよりもバランスを崩しやすく、転倒のリスクが高くなる。前述の「電動アシスト付自転車に関する調査」では、子どもの送迎を目的に利用している231人のうち、61.5%(142人)が「事故やヒヤリハットの経験がある」と回答し、そのうち69.7%(99人)は「バランスが崩れた」と答えている。 電動アシスト自転車はこぎ出しがスムーズであるものの、子どもを乗せた状態ではバランスを崩しやすいことがわかる。そのため、筆者は子どもの安全を確保するためには“安定性”を重視すべきだと考えている。