ピーコさんが「敗血症」により逝去 どういう疾患なのか? 症状・原因を解説
敗血症の検査・診断
編集部: 敗血症の検査・診断はどのようなものですか? 武井先生: 敗血症は、血液検査、血液培養検査、血液ガス分析検査、画像検査により診断します。 編集部: 血液検査とはどのようなものですか? 武井先生: 血液検査を行うことで、体内の炎症の程度、腎機能、肝機能を測定します。敗血症では特に血液中の白血球が増加、減少するのが特徴です。また血液検査は診断以外にも敗血症の重症度を確認できますので、治療効果を判定するために、繰り返し実施します。 編集部: 血液培養検査とはどのようなものですか? 武井先生: 敗血症では、本来は無菌状態の血液中に細菌が入り込んでいます。採取した血液の血液培養検査を行うことで、血液中の細菌の有無、細菌の種類を特定することができます。敗血症を起こしている原因菌の特定は、適切な抗菌薬の選択に有効です。 編集部: では画像検査とはどのようなものですか? 武井先生: 敗血症による全身臓器のダメージを調べるため、症状に応じてX線、CT、MRIなどの画像診断を行います。
敗血症の治療方法
編集部: 敗血症の治療をする場合、どのような治療方法がありますか? 武井先生: 敗血症の治療は「原因菌に対する根本治療」と「血圧低下とそれに伴う臓器障害を防ぐ治療」を並行して行います。 「1. 原因菌に対する根本治療」 根本治療として、速やかに病原菌を特定して適した抗菌薬の投与を行います。また、感染により臓器に障害がある場合は、外科的に切除を行います。 「2. 血圧低下とそれに伴う臓器障害を防ぐ治療」 血圧低下や臓器障害を防ぐ治療として、血圧と血液中の酸素濃度を維持するため、酸素投与や大量の輸液による初期治療を行います。 血圧を上昇させる薬(カテコーラミン)を投与する場合もあります。必要に応じて人工呼吸器や血液浄化治療などによって全身管理を行います。 また、敗血症の治療としては血小板輸血や新鮮血漿の投与、ガンマグロブリンなどの抗炎症作用がある製剤の投与も行われる場合があります。 その他、必要に応じて人工呼吸器や人口透析などによって全身管理を行います。このように、敗血症は生命を脅かす組織障害や臓器障害を来す疾患ですので、集中治療室での全身管理と治療が必要です。 編集部: 敗血症の予防策はどのようなものですか? 武井先生: 敗血症を予防する方法としては、以下3つが重要です。 「1. ワクチン接種」 肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなど、感染症予防のためのワクチン接種 。ワクチンについて詳細な情報や接種のタイミングは、医師に相談しましょう。 「2. 衛生を保つ」 普段から手洗いうがいを心掛け、けがをした場合には傷口をしっかり洗うなどの衛生管理をしっかり行う。 「3. 初期に対応する」 敗血症は時間とともに進行しますので、悪化を防ぐためには早期に気付くことが重要です。 敗血症の症状の特徴は、悪寒やふるえ、身体の疼痛や不快感、冷たく湿った皮膚症状、意識低下、息切れ、頻脈などですので、これらの症状の有無に気を付けましょう。 また日常で心掛ける敗血症の予防策は、以下になります。 ・自身と家族の手洗いをしっかり、頻回に行う ・人混みや風邪などの感染がある人との接触を避ける ・毎日の入浴やシャワーにより全身の清潔を保つ ・皮膚の乾燥や肌荒れを予防するローションの使用する ・歯磨きや歯茎の手入れは柔らかい歯ブラシを使用する ・食器や歯ブラシなどの器具を他人と共用しない ・肉や卵を食べる際に、殺菌処理を行い調理する ・生野菜やフルーツを丁寧に洗う ・ペットや家畜の糞尿に触らない ・手袋をして動物の排泄物を触れた後でも、速やかに手洗いを行う ・庭の植栽の手入れ時に手袋を着用する 編集部: 敗血症の後遺症はどのようなものですか? 武井先生: 敗血症は多くの場合治療により完全に治癒しますが、集中治療を要するほかの疾患同様、一部の患者さんでは、長期の影響として後遺症が残ります。 後遺症の症状として見られるのは、不眠、寝付きにくい、睡眠不足、悪夢、幻覚、パニック、筋肉の動きにくさ、関節痛、認知機能の低下、自尊心や自己信念の喪失、腎不全、呼吸機能など臓器機能の障害、治療により手足を切断するなどにより四肢を失うなどです。 編集部: 敗血症からの回復ステップはどのようなものですか? 武井先生: 敗血症からの回復期は、通常入院中にリハビリを開始します。リハビリ初期段階では、入浴や座る、立つ、歩く、トイレなど、補助を受けながらゆっくりと動いたり、身の回りのことを行ったりすることから始めます。 リハビリの最終目標は、可能な限り健康な状態であったときと同じ状態に戻ることです。 リハビリは、焦らず少しずつ活動を高めてゆき、疲れたら休憩を取ります。