壮絶な奪い合い…世界が恋する日本の中古品
今回のテーマは、「世界が恋する中古品~リサイクル革命へ~」。 中古品の売買が活況だ。今では「ユーズド・イン・ジャパン」が世界の注目の的で、「品質が良い」「丁寧に使われている」「しかも安い」と大人気。中でも、昭和の家電が海外で驚きの値段になっていた。日本人の想像を絶する“すさまじい獲得競争”を独自取材した。 【動画】壮絶な奪い合い…世界が恋する日本の中古品
日本の中古品を奪い合う外国人バイヤー
埼玉・東松山市。以前ホームセンターだった大きな建物で、月に5回「浜屋オークション」が開催されている。会場で目立つのは、東南アジアをはじめとする外国人バイヤー。 1548キログラム分のぬいぐるみの競りが始まると、「25万円!」「26万円!」と徐々に値段がつり上がる。どんなぬいぐるみが入っているかも分からない状態だが、最終的には27万円で競り落とされた。
次に出品されたのは、昭和の時代、銭湯でよく見かけた背の高い扇風機。さびだらけで「ナショナル」と書かれたこの商品は、パキスタン人のバイヤーが4万円で競り落とした。 彼は他にも落札していて、「全部ナショナル。ドバイのお客さんのために買った。使える、使えないは分からない、関係ない」と話す。
このオークションを主催しているのは、中古家電輸出の最大手「浜屋」。店先にはいつも廃品回収業者の車が列をなし、業者が一般家庭などから引き取った不用品を、最終的に買い取っている。 さらに、業界最大手「サカイ引越センター」とも業務提携。引っ越しの時に出る不用品も同様に買い取る。こうして集まった中古品を、オークションに出品しているのだ。 この日のオークションであるタイ人のバイヤーが買った総額は、約406万円。彼らはなぜ、日本の中古品を買い漁るのか。
7月。タイ南部にあるハートヤイ。人口約15万人、日本では「ハジャイ」という名で知られる観光都市だ。 取材班が訪れたのは、浜屋のオークションに参加していた女性が経営する店。レトロな扇風機(約1万2500円)やぬいぐるみ(約100~900円)、標識(約1700円)まで、所狭しと日本の中古品が並ぶ。 朝8時30分、すでに店の前には大勢の人が。この日は1カ月に1度、浜屋から届いた商品が店頭に並ぶ初日。SNSで告知すると徹夜組が出るほどの人気で、常連客も多い。