レモンジーナやヨーグリーナ「品薄商法」は存在するのか
サントリー食品インターナショナル社(以下、サントリー社)は「レモンジーナ」と「サントリー 南アルプスの天然水 & ヨーグリーナ(以下、ヨーグリーナ)」が発売後すぐに人気で品薄になったため出荷休止を発表した。レモンジーナは2015年12月末までの販売計画100万ケースを、3月31日の発売からわずか2日で上回ってしまい出荷休止になっていたが、4月末にようやく再出荷される状況になった。一方、「ヨーグリーナ」は4月14日発売された後、生産体制を上回る再注文が来たため出荷休止になっている。
「出荷休止」なのに店頭に商品並ぶ
サントリー社の「出荷休止」という発表は、サントリー社からの出荷が出来ないという状態だ。こうした飲料品の流通では、メーカーが代理店を通して販売店に商品を販売するケースも多い。したがってメーカーには在庫がなくても代理店に在庫があるというケースもある。また代理店から販売店にどれだけの商品が流れているかについて、メーカーが把握出来ないケースもある。販売店でどれだけ売れているかについても、メーカーが事細かに把握することは難しいといえる。 「レモンジーナ」のケースで言えば、メーカーからの出荷が年間販売目標に達してしまったということで、販売店で売り切れたという発表ではない。確かに、年間目標を数日間で達成してしまうという事態は、サントリー社の需要予測精度と生産体制の甘さの問題ではあるものの、発表そのものに間違いや問題はない。 問題だったのは、サントリー社が出荷休止を発表したにも関わらず、店頭に「レモンジーナ」が大量陳列された状態が続いたことだ。出荷休止が発表された後も、コンビニに行けばドリンクケースに大量の商品を発見することができた。またレジ前の最高のスペースで大々的なプロモーションが行われている店舗も少なくなかった。スーパーはコンビニ以上に広い販売スペースを持つ。壁のように積まれてプロモーションされている「レモンジーナ」を見かける店舗もあった。自動販売機でも「BOSS」や「伊右衛門」といったサントリー社の他の製品とともに売り切れずに販売されていた。私も、販売休止発表直後、都内20か所近くのコンビニ、スーパーを視察し、ことあるごとに自動販売機をチェックしたが「レモンジーナ」が売り切れている様子はなかった。 「品切れですよ」というメーカーの発表に対して、実際にはたくさん売っているという状況だったため、消費者はサントリー社が「品薄商法」をしているのではないかと疑ったのだ。