レモンジーナやヨーグリーナ「品薄商法」は存在するのか
「時期尚早だった」今回の発表
サントリー社のような大手でも、品薄商法を行うリスクはかなり高い。あえて品薄商法を採用するとは考え難いのだ。しかし、溢れかえる新製品や情報の中で、サントリー社と言えども、安穏としていられない気持ちがあるのは事実だろう。同社の缶コーヒー「BOSS」は、セブンイレブンのPB商品を発売して好調な販売を記録したが、2015年になりセブンイレブンはコカ・コーラ社の「ジョージア」をPB商品に採用したように、販売店に対して常に気の抜けない状況が続いている。 ただ、今回の販売中止の発表に関しては、個人的には時期尚早だったと感じている。なぜなら、店頭に商品が残っている段階での発表は、消費者から違和感を持たれてもおかしくないからだ。また店頭に在庫がありながら、年間目標販売数量を数日間で達成したと発表すること自体、自ら需要予測の甘さを発表するようなものだからだ。本来は店頭に商品がなくなり、消費者から問い合わせが殺到した段階で「お詫び」として発表すべきからだ。出荷量自体は発売から2日間で年間目標を達成したものの、店頭では売れていない状況をサントリー社も確認していただろう。もしかしたら、どこかで実売を加速させなければならないという気持ちが働き、あのタイミングで「レモンジーナ」出荷停止を発表させてしまったのかもしれない。 ちなみに「ヨーグリーナ」に関しては、「レモンジーナ」とは異なり、実際に店頭でも品切れを起こしている。味に関しても、今までになく美味しいと多くの人が言う。純粋な意味での「品薄」なのだが、「レモンジーナ」と重なってしまったことで、サントリー社の「品薄商法」疑惑が加速する結果となってしまったのではないだろうか。 (マーケティングコンサルタント・新井庸志)