レモンジーナやヨーグリーナ「品薄商法」は存在するのか
リスクの高い「品薄商法」
「レモンジーナ」「ヨーグリーナ」の騒動を受けて、サントリー社は副社長が謝罪会見に臨むという事態にまで発展した。またサントリーホールディングスの新浪社長は「お粗末」とも発言した。 ここで、PR業界の一般論の話をしたい。かつてと違い、企業には透明性が求められる時代だ。嘘や誇張はすぐにバレる。ソーシャルメディアの出現によって、消費者は簡単に企業に意見をしたり、批判をすることができるようになったからだ。そして、発信された情報は発信した人の気持ちの深度とは関係なく、どんどん広まっていく。この結果、問題は企業が想定しなかったレベルにまで大きくなってしまうことがあるのだ。結果、問題が起きてすぐに非を認める場合よりも、より大きなダメージを企業は被ることになるケースが往々にしてある。それは時には企業経営を揺るがすほどの大ダメージになることもあるのだ。この点から見れば「品薄商法」は極めてリスクの高い商法だと言えよう。
飲料品・食品では特に高リスク
今回のような飲料や食品を購入する時の消費者は、「今」飲みたいかどうか、食べたいかどうかが重要だ。品切れになっていれば、何も買わないか、別商品を購入するという行動に出る。これが電化製品や精密機器の場合には「品薄」や「品切れ」がわかっても、数か月間待って購入したいという気持にもなる。現在であればApple Watchだ。消費者は「待つ」と分かっていてもApple Watchを楽しみに待つ。そして、それでも欲しい消費者がさらに増えているという状況なのだ。食品や飲料の場合、そうはいかない。 そして、もっとも重要な理由は、一度失った販売スペースを取り戻すことは難しいというものだ。例えばセブンイレブンでは年間2000もの新商品が販売され、半分以上の製品が入れ替わる。今や単なる小売店ではなく、人々の生活のインフラになりつつあるコンビニ。売れない商品はあっという間に撤去されることはもちろんだ。それだけでなく新商品発売によって旧製品はロングセラーブランドでもどんどん隅に追いやられていくシビアな世界だ。飲料においても、人気で品切れしたからといって、次の販売タイミングまで待ってもらえるほど悠長なビジネスモデルではないのだ。