高齢の親と同居しています。介護にあたり「世帯分離」はしたほうがいいのでしょうか?
厚生労働省「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」より筆者作成 また、例えば母親が要介護3以上となり、特別養護老人ホームへの入居を申請した場合、世帯分離したことで母親は「老人の独居世帯」とみなされるので、入居時に有利となります。 さらに、特別養護老人ホームなどの介護施設への入居やショートステイを利用する人の場合、その居住費や食費は世帯所得によって階層別に限度額が設定されています。母親の負担段階は下がり、利用料を軽減してもらうことができます。
世帯分離のデメリット
世帯分離を利用すると、上述のように介護費用を削減することができますが、デメリットもあります。高額介護サービス費や高額療養費制度は、世帯ごとにかかった費用を合算して申請できます(世帯合算)。 しかし、親と子で別の世帯になると「世帯合算」はできなくなります。特に、1つの世帯で2人以上が介護サービスを利用する場合には、かえって損をする可能性があります。 なお、親も子どもも国民健康保険料を払っている場合などは、世帯が別になると、それぞれの世帯主が国民健康保険料を個別に払うことになります。 そのため、1世帯がまとめて支払っていた場合に比べ、保険料が割高になることがあります。また、子どもの会社の健康保険に親が扶養家族として加入している場合は、組合の制度を利用できなくなります。
まとめ
家族の「世帯分離」を利用すると、介護保険サービスなどの自己負担額を減らすことができますが、その際はトータルで損得を考える必要があります。よって、世帯分離を検討する場合は、まず住んでいる自治体に相談することをおすすめします。 出典 厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます 執筆者:水上克朗 ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部