10代から必要!? 肌のエイジングケア、いつから始める?本当に効くのはこの2つ!【肌の再生医療の専門家が教えるエイジングケア】
見た目の印象は肌の美しさだけじゃない。自分の優先順位を考えたケアを
アンケートで聞いたエイジングケアに対する考え方は、実践方法についても、始めるべき年齢についても、人それぞれでした。そこで今回は、肌の再生医療の専門家であり、YouTubeで正しいアンチエイジングや医師が絶対やらないケア方法などについて発信している医学博士の北條元治さんに、正しいエイジングケアについて伺いました。 ――エイジングケアについてお聞きする前に、肌の衰えとはどういうものなのか、教えてください。 北條さん(以下敬称略)「肌は第三者からパッと見える部位なので、みなさん、衰えについて敏感に意識すると思います。でもその衰えは、筋肉にも起きているし、骨にも神経にも、それから目の網膜や水晶体にも起きているのです。 年齢による衰え=老化とは、専門用語で言うと退行性変化のことで、加齢によって身体のあらゆる機能が低下することを言います。 たとえば、高齢になると骨は小さくなるのでなく、骨密度が低下してスカスカになると言われていますよね。皮膚も同様で真皮部分が薄くなっていきます。さらに皮膚全体を覆っている皮脂が減って乾燥しやすくなり、肌の保水力が低下します。 その結果、肌のハリやツヤがなくなり、シワやそばかすができたり、たるんだりします。これが、肌の老化ですね。 こうした老化を止めるために、様々な美容法が提案され、サプリメントなども売られています。ただ、衰えた筋肉を鍛えることはできても、こと肌に関しては『◯◯をやったから、老化を止められる』とか『老化のスピードをゆっくりとさせられる』ということはないんです」 ――そうすると、肌のアンチエイジングは無理ということでしょうか? 北條「残念ながら、肌の老化の進行を止めることはできません。けれども肌へのダメージを抑えて、加齢によるシワ・たるみなどの肌のトラブルを少しでも減らす方法はあります。 それは遮光と保湿です。 光による皮膚の退行性変化を予防するためには日焼け対策は必須です。『外では日傘や帽子をかぶる』『長袖を着る』『日焼け止めを塗る』などが基本になります」 ――先生も日焼け対策をされているのですか? 北條「私は都内を自転車で動き回っているので、日焼け止めは毎日使っています。 遮光についての重要性を話すと、大抵、『どんな日焼け止めを使えばいいですか? 』と聞かれますが、基本はその人が使いやすいものです。PAとかSPFとかいろいろありますし、ウォータープルーフなど汗や水への耐久性があるものなど、用途による違いがあります。その中でどれが一番いいかという観点よりも、長続きすることが一番大事。 子育て中でなかなか日焼け止めを塗る時間がない人はスプレータイプを使ってみるのもいいでしょう。SPFにこだわったり、丁寧に塗ることにこだわったりするよりも、その人が長続きする方法を見つけてください。 私はロクシタンというハンドクリームが人気のブランドの日焼け止めを使っています。SPFは30でそんなに高くはないですが、伸びがよくて塗りやすいんです。香りも爽やかで、日焼け止めを使っているという感覚ではなく、ハンドクリーム感覚で使えるので重宝しています」 ――では、保湿についても教えてください。 北條「保湿に関しては、基本的には基礎化粧品で行います。みなさん、化粧品にシワ改善とかシミをなくすとかの効果を期待していますよね。けれども先にお伝えしたいのは、化粧品にそういった生体の変化をさせる薬理効果はないということです。 そのため、化粧水や乳液、クリームは、日焼け止めと同じく、ご自身が使いやすく、使って気持ちのいいものを選んで使ってください」 ――エイジングケアだからと言って、高価なアンチエイジング化粧品を使う必要はないということですか。でも年齢を重ねたことによる肌の保水力の低下や、たとえばクーラーの効いた部屋にいて乾燥が気になる場合は、日に何度か保湿をしたほうがいいといった違いはありませんか? 北條「人の身体はそんなにやわにはできていないので、保湿を頻繁にしなければ肌が衰えるということはありません。基本的には、朝晩で大丈夫。ちなみに、肌が油っぽくなるというのも保湿不足なので、そういう場合も保湿を十分にすることで解消されます。 年齢が上がって皮脂の分泌量が低下している状態なら、乳液よりも油分の含有量が多いクリームを使うというスタンスで大丈夫。年齢が上がったからといって、特別なお手入れをする必要があるわけではありません。エイジングケアとして、高価な化粧品を使うことで充足感を感じる人もいると思うので、私はそれについては否定しません」 ――たまひよ読者から、エイジングケアは何歳から始めたらいいかという悩みも寄せられました。何歳から始めるといいのでしょうか? 北條「30代後半くらいから様々な身体の機能が低下してくるので、その頃から意識する人が多いのではないでしょうか。ただし遮光=日焼け予防に関しては、若いうちからやったほうが効果的でしょう。それこそ、子どものうちからやったほうがいいと思います。 お伝えしたいのは、40代から始めたから手遅れということはないということです。 美肌という価値観と健康な肌という価値観とは、微妙にずれていると思うんです。日焼けをしたからといって健康な肌を損なうことはまずありません。紫外線を浴びない=健康な肌を保つというような考え方は間違っています。 人の幸せって、肌の良し悪しだけじゃないんです。サーフィンが大好きで海にずっと行っている人は、海でサーフィンをしていることが幸せなんですよね。そのときに、肌を露出しないでいるとか、こまめに日焼け止めを塗ってとかは無理じゃないですか。結局、その人の大事なものは何なのか、幸せでいられるために必要なのは何なのかということに行き着くんですね。 それに見た目の若さとは、肌だけじゃないですよね。体型、服装、髪型、歩き方…いろいろなものが加味されて判断されます。だから肌だけでなく、総合的に考えたほうがいいと思うんです。 『若々しく、楽しく人生を送ること』もアンチエイジングとして大切。『アウトドアが好きだけれど、紫外線を浴びないように外に出るのを我慢しよう』などと考え、老化予防のために、極端に自分の好きなことを我慢するのはむしろ逆効果です。 アンチエイジングは何歳からやっても手遅れということはないのだから、楽しく毎日を過ごすことを優先してほしいと私は考えています」 「シミやしわ、肌のたるみは気になるから何とかしたい!」とは思いますが、何歳になってもピカピカな肌でいられるわけではないのも事実。それなら、自分が楽しく前向きでいられることを追求することがその人の見た目年齢にプラスに作用するのかもしれませんね。 (取材・文/橋本真理子、たまひよONLINE編集部)
北條元治さん
PROFILE) 医学博士。東海大学医学部客員教授。弘前大学医学部卒業。信州大学附属病院勤務を経てペンシルベニア大学医学部で培養皮膚を研究。帰国後、東海大学にて同研究と熱傷治療に従事。2004年、細胞の製造・保管や再生医療の技術・導入支援を行う株式会社セルバンクを設立し、「肌の再生医療」専門クリニックを創業。現在は社長業と共に再生医療の普及に従事するため、Youtuberとしても活動中。 ※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。 ※記事の内容は2024年8月の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部