北米では世界遺産を避けて地下へ、路面〝電車〟でもない? 宇都宮ライトレール開業で注目のLRT「鉄道なにコレ!?」【第51回】
▽ディーゼルエンジンで走る路面〝列車〟 O―トレインはコンフェデレーション線のほかに途中のベイビュー停留場で接続し、2024年4月のオタワ国際空港などへの延伸開業を目指しているトリリウム線がある。ともにいわゆるLRTの路線だが、日本語で「次世代型路面電車」と称される定義にはどちらも当てはまらない。 というのも、O―トレインには自動車と道路を併用する路面電車のような区間が全くないからだ。いずれも電車だけが通る専用軌道を設けており、地上に線路を敷いている区間のほかに地下に潜ったり、高架橋を走ったりする部分もある。 しかもトリリウム線は電化しておらず、運転している車両はディーゼルエンジンで走るので「電車」でもない。同じようにディーゼルエンジンを搭載した列車が走っているのが、米東部ニュージャージー州の運輸公社NJトランジットが運行する「リバーライン」だ。デラウェア川に沿って州都トレントンとカムデンの約55キロをつないでいる。
スイスの鉄道車両メーカー、シュタッドラー・レールが製造した列車は三つの車体で構成され、両端の車体には運転席がある乗務員室と客席を配置している。真ん中の車体にディーゼルエンジンを搭載しており、扉で区切られた両端の車体と行き来できる通路を走行中に歩くと「ゴー」という音が鳴り響いていた。エンジンから排出する熱気がこもっていることもあり、エンジンに囲まれた真ん中の車体に居座る乗客は見当たらなかった。 ▽世界初の浮き橋通行 一方、米西部ワシントン州シアトル都市圏では世界で初めて浮き橋の上を通るLRTが2025年に営業運転を始める予定だ。運輸公社サウンドトランジットの路線がシアトルからレッドモンドまでの東西約22キロを結ぶ計画で、途中のワシントン湖では約2キロの浮き橋を通ることになる。 建設中の線路と併走する州間高速道路「90号線(I―90)」が浮き橋を採用しているのに合わせたが、サウンドトランジットの担当者は「湖の水位によって高さが変わる浮き橋に線路を敷くのは難しかった」と打ち明ける。