旧成田エクスプレス「ナゾの豪華個室」がサイコー!しかも格安!? “車内放送の主”と同乗して裏話いろいろ聞いた
成田エクスプレスの「個室」健在 料金は5分の1に
バブル時代に登場した特急用車両の一部には、家族やグループで貸し切ることができる豪華仕様のコンパートメント(個室)が付いたものがあります。今も利用できる長野電鉄(長野県)の個室に車内放送の“声の主”と同乗し、裏話をうかがいました。 【300円で乗れるの!?】これが旧成田エクスプレスの「VIP用個室」です(写真) 長野~湯田中間(33.2km)を結ぶ長野電鉄長野線の特急「スノーモンキー」2100系は、JR東日本の特急「成田エクスプレス」の初代車両253系を譲り受けました。3両編成が2編成、在籍しています。 1991年にデビューした253系のバブル期の“残り香”のようなのが、編成に1室だけある指定席個室「Spa猿~ん」です。 似たような個室は、東武鉄道が1990年に運用を始めた特急用車両100系「スペーシア」にもあり、2023年にデビューした新型N100系「スペーシアX」に引き継がれました。一方、成田エクスプレスの個室は新型のE259系では廃止されています。 Spa猿~んは、沿線の地獄谷野猿公苑の温泉につかるサルと、「スーパーサルーン」を引っかけた名称。最大4人が利用できる室内は、2人掛けのソファシートが向き合い、電動で背もたれが倒れます。入り口にある液晶ガラスは、室内にあるスイッチを操作すると半透明になる機能も。 成田エクスプレス時代はグリーン個室で、成田空港と東京を往来するVIPらの利用を想定していたとされます。当時は6000円の利用料がかかりましたが、スノーモンキーでは1200円と5分の1です。座席指定券は1人当たり300円のため、4人で乗り込めば指定席料金と同額で個室を使えるのはお得です。他に大人100円、子ども50円の特急券も必要です。
「ご乗車ありがとうございます」の声のご本人と乗った!
筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は2024年12月、この豪華個室にふさわしいVIPと同乗しました。スノーモンキーの自動車内放送を担当したフリーアナウンサー、山崎昭夫さんです。 山崎さんが司会をしていた長野県の民放ラジオ番組で、筆者は2017~20年に時事問題などを解説するコーナーに出させていただきました。鉄道ファンとしても有名な山崎さんとの面会に最適な場所だと考え、長野駅を18時に出発するスノーモンキーに乗り込みました。 「ご乗車ありがとうございます」というご本人の声が流れる中で、山崎さんは収録時の様子を振り返りました。 「スノーモンキーが2011年に運用を始めるのを前に、鉄道の車内放送装置で大部分のシェアを握る八幡電機産業の担当者が、大きな録音用機器を持って当時の勤務先に来て、約1時間半かけて収録しました」