マイクロストラテジー株、ナスダック100指数への組み入れから数日で急落続く
永続できないものは、やがて止まる
史上最高のトレーダーであり、何十億ドルもの資産を蓄えるだけでは満足せず、ジョージ・ソロス(George Soros)氏は偉大な思想家として名を馳せることを望んだ。同氏のトレーディングに関する最高傑作「再帰性理論」が、アインシュタインの有名な理論に疑わしいほど似た響きを持つのは偶然ではない。 ソロス氏は、投資家の認識とそれが価格に与える影響は常に双方向的であると説明した。このように、認識(しばしば間違っている。人間は間違いを犯すからである)は価格に影響するだけでなく、文字通り自らの現実を作り出すことができる。つまり、1)収益が大幅に増加しようとしているため、投資家は株価が上昇すると信じる、2)株価が上昇する、3)株価が高いため、経営陣は他の方法よりも低コストで資金調達できる、4)これにより収益が改善する、5)株価がさらに上昇する、6)強気派は自らの聡明さを自画自賛し、追従する者が出現する、といったことである。 ソロス氏の哲学の多くを削ぎ落として見れば、これは好循環としても知られており、マイクロストラテジーは2024年に間違いなくその渦中に身を置いていただろう。ソロス氏のトレーディングにおける天才性の片鱗は、これらの循環が起こっている際にそれを認識し、飛び乗ったことだ。また、他に同氏の天才性が現れているところとしては、循環が崩れようとしているときを見極め、そこから抜け出すか、さらには逆張りをすることさえあったことだ。 「永続できないものは、やがて止まる」と、政府予算/貿易赤字について論陣を張っていた経済学者のハーブ・スタイン(Herb Stein)は述べている。スタインの法則は、結局、マイクロストラテジーの株にも同様に当てはまることが判明した。
依然、値上がり幅としては目覚ましい
現地時間12月14日にナスダック100指数への組み入れが発表された直後、マイクロストラテジーの株価は430ドル前後(約6.7万円)で取引されていたが、本記事執筆時点では300ドル(約4.7万円)強で取引されており、わずか2週間で約30%下落している。 振り返ってみると、マイクロストラテジーのバブルには3週間前に亀裂が入っていたようだ。株価は11月21日に約543ドル(約8.5万円)でピークに達した。ビットコインは11月下旬から12月上旬にかけて上昇を続け、最終的に10万8000ドル(約1700万円)を超える高値を付けたが、マイクロストラテジーは値下がりした。これは、テクニカル指標のマイナス乖離と呼ばれるものだ。本記事執筆時に300ドルというのは、マイクロストラテジーが約5週間でピークから底値まで45%の下落に見舞われているということだ。 マイクロストラテジーの株価は、非常に短いこの期間を除けば、依然として目覚ましいパフォーマンスを見せている。年初来で400%以上、セイラー氏が2020年8月にビットコイン購入を開始した時点からだと約20倍も上昇している。 弱気派は急落はまだ続くと言うかもしれないが、強気派は、2020年8月以降に同社株は今回と似た恐ろしい短期または中期の値下がりを何度も経験したが、常に上昇して解決してきたと指摘するのが目に見えている。 ソロス氏ならば何と言うだろうか。おそらく、自身の再帰性理論によれば、価格というのは、ほとんどの人の予想を超えて(上昇と下降の両方で)動く可能性があるというのを思い起こさせるのだろう。 |翻訳・編集:T.Minamoto|画像:Shutterstock|原文:Sell the News: MicroStrategy Plunge Deepens in Days Following Nasdaq-100 Inclusion
CoinDesk Japan 編集部