マイクロストラテジー株、ナスダック100指数への組み入れから数日で急落続く
マイクロストラテジーの株価は現地時間12月30日には 8% 以上値を下げ、300 ドル(約4.7万円、1ドル=157円換算)をわずかに上回る水準で推移した。同社株は、Nasdaq-100 指数への組み入れが発表された直後から約 30% 下落し、11 月下旬に記録した過去最高値から 50% 近く下げている。振り返れば、不可避な現象だったと言えよう。 かつてはほとんど無名だったエンタープライズソフトウェア会社が巨大なビットコインの開発企業に変貌し、少なくとも短期では極めて高値に届くという兆候は随所に見られていた。 そうしたシグナルの第一は、株価の急騰だ。11月下旬に最高値543ドルをつけて、同社は2024年で8倍近く、そして同社が2020年8月にビットコイン(BTC)の購入を開始して以来からだと50倍以上、値上がりした。 続いて、創業者で取締役会長のマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏だ。同氏は会社の見通しについて喧伝し、ビットコインを広めることに一切の躊躇なく、そして、2024年終盤には金融ニュース、ポッドキャスト、ソーシャルメディアでさらによく見かけるようになった。 セイラー氏に関して言えば、頻繁に目にするようになっただけではない。アメリカンフットボールで選手がタッチダウン後に行うパフォーマンスに米国のスポーツファンであればなぞらえかねない同氏の態度に、微妙な変化があった。たとえば、マイクロストラテジーが考案した「ビットコイン利回り」という主要業績指標を定期的に宣伝することであり、これは1990年代後半のインターネットバブル期の「ページビュー」などといった指標を想起させる。同社は、株式や転換社債の売却で現金を潤沢に蓄えていたが、理由は不明なものの、2024年終盤にはセイラー氏が月曜日の午前に規制当局への正式な報告を行う前の日曜日、多額の新規ビットコイン購入に関する発表を予告するという恒例もできた。 そして、追従者が出現した。セイラー氏によるビットコイン財務戦略が何年にもわたって明らかな成功を収めていたにもかかわらず、他の上場企業が同じ戦略を採用することはそうそう見られなかった。確かに、イーロン・マスク(Elon Musk)氏率いるテスラ(Tesla)やジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏率いるスクエア(Square)のような大企業でさえ、ビットコインの取得に手を出した企業はいくつかあった。しかし、ビットコインを主要な財務資産として採用するにとどまらず、意欲ある市場を利用してトークンを蓄えるために資金調達を重ねる姿勢は他の注目企業には見られなかった。 しかし、今年は状況が大きく変わり、企業としては小規模の医療機器メーカーであるセムラー・サイエンティフィック(Semler Scientific)、日本のホテル運営会社メタプラネット、そして数多のビットコインマイナーがセイラー氏のビジョンを受け入れており、資金調達やビットコイン購入を発表するたびに、ソーシャルメディアでセイラー氏から称賛を浴びている。