爆笑問題と同姓同名、楽天ドラ2の太田光捕手は話題先行を覆すことができるのか?
プロスポーツは人気商売。もちろん実力が最も大事だが、話題性があるに越したことはない。その点、ドラフト会議で楽天から2位指名を受けた大商大・太田光捕手は申し分がない。人気お笑いコンビの「爆笑問題」の太田光と同姓同名。 大商大の太田の呼び名は「おおた・ひかる」で、「爆笑問題」の「おおた・ひかり」と読み方は違うが、さっそく「爆笑問題」が、MCを務めるTBSの「サンデージャポン」やTBSラジオ「爆笑問題の日曜サンデー」でもドラフトを伝えるコーナーの中で、4球団競合の大阪桐蔭の根尾昂や日ハムに外れ1位で指名された金足農の吉田輝星と並んで話題にされた。甲子園のスターでもなかった太田が、まず名前を売り出すためのつかみはOKである。 太田本人に爆笑問題・太田との同姓同名問題を聞くと、「ありがたいです。それだけで注目してもらえますから」と、話題先行型の売り出しを素直に歓迎。 「太田さんはすごく発言力がある方ですよね。ネットニュースでもすぐ取り上げられるし。めちゃくちゃズバズバ言ってらっしゃるのが、おもしろい」と尊敬の念を口にした。 爆笑問題・太田との縁は今に始まったことではない。一番最初のとっかかりは、広島・広陵高時代の2014年夏。太田は、名門高の「4番・捕手・主将」として甲子園に出場、1回戦で、のちに決勝まで進み旋風を巻き起こした三重に延長11回4-5でサヨナラ押し出しで敗れたが、この際も名前が話題になり、大会終了後、まず爆笑問題側からアプローチがあった。 爆笑問題がパーソナリティーを務めるTBSラジオの番組制作者から「電話出演していただけませんか?」と学校にオファーが来たのだ。高校生の太田はさすがに出演しなかったが、代理で父の正浩さんが電話出演。爆笑問題・太田に「僕と同じ名前で、息子さんに迷惑がかかっていませんか?」と気使いされたというエピソードがある。 ただし、命名の由来は、爆笑問題とは何の関係もない。 正浩さんいわく「聖書からです」。旧約聖書の創世記第1章にある「神は『光あれ』と言われた」というくだりから拝借した。太田は次男。長男の兄の創(はじめ)さんも同様で、こちらは創世記、天地創造から命名された。ちなみに母の名は「しんり」と読める真理(まり)さん。妹は、愛永(まなえ)さん。大商大の富山陽一監督が入学早々の1年春からマスクを与えたのは、実力もさることながら、「ハートの強さ」と人間性を見抜いてのこと。そのあたり、名前の由来や家族に育まれた人柄と無関係ではないだろう。 では肝心の実力はどうなのか―。 パ・リーグ某球団のあるスカウトはこう評価する。 「今年の大学・社会人の捕手には即戦力の大物と呼ばれる選手はいません。それでも、評価は筆頭でしょう。一言でいうなら捕手らしい捕手。動きもいい。彼は打撃もシュアでやわらかく、広角に打ち分ける技術があって打てる捕手に育つ可能性がある。普通、打撃に魅力がある子はそっちに走りがちですが、彼の場合はそうじゃない。捕手としての守備力に重きを置いている雰囲気がある。そのあたりも好感が持てます」。 大商大・富山監督は―。 「たとえば、彼に試合後『どうやった?』と聞くと『0点に抑えました』とか、先に失点のことを答えます。それしか言わない。打撃のこととかじゃないんです。チームの勝敗に使命感を持っている。そういう捕手は少ないですよ」