爆笑問題と同姓同名、楽天ドラ2の太田光捕手は話題先行を覆すことができるのか?
強肩と強打で捕手頭脳の高い実力派捕手
身長178センチ、体重76キロとバランスのとれた体形の右投げ右打ち。広陵では人格形成、野球の技術両面の指導力で高校球界屈指名将、中井哲之監督に鍛えられた。関西6大学リーグの大商大では、1年春からレギュラーとなり、広島の岡田明丈とバッテリーを組んだ。4年では高校に続いて主将に就任。チームの要として6度のリーグ優勝に貢献した。 二塁への送球タイムは1.9秒台前半の強肩を誇り、インサイドワークも抜群。最後の秋は打撃不振だったが、今春はリーグ戦で打率.522で首位打者を獲得している。長打率も.761をマーク。フルスイングで逆方向に長打が打てる打撃が売りだ。実力派捕手だ。 野球に取り組む真摯な姿勢は、その発言から十分にうかがえる。楽天の2位指名決定後の会見で、報道陣に「目標、手本にしてきた選手は?」「どんな捕手になりたいか?」と問われて、こう答えた。 「スローイングは、ソフトバンクの甲斐さんを参考にさせてもらっていますけど、キャッチャーでこの人、というのはありません。リード、インサイドワークって、絶対的な正解がないじゃないですか。いろんな捕手の配球などを見て、引き出しを増やすことは大事ですが、ケース次第でそれをどう使っていけるか。打撃より、キャッチャーとしての能力が認められる選手になりたい。自分のオリジナルで頑張っていきたい」 その鉄砲肩が“キャノン”と評され、日本シリーズでも広島の機動力を完璧に封じ込んでいるソフトバンクの甲斐拓也のスローイングを参考にする一方で、独自のスタイルを確立したいというのだ。 そして、捕手として評価されるべき能力について、「例えば盗塁を刺したからといって試合に負けてしまったら何の意味もない。トータルでチームを勝たせられるか、どうかだと思います」と持論を展開した。 これだけで“捕手頭脳”の高さがわかる。 楽天は捕手がウイークポイントである。昨年オフに山下斐紹(25)をソフトバンクからトレードで獲得したが、43試合に出場して打率は1割台。33歳の正捕手、嶋基宏は113試合に出場したが、重なる故障にも悩まされて打率.206、0本塁打、21打点と低迷した。足立祐一(29)も、嶋を押しのけるまでにはいかず、来季4年目の堀内謙伍(21)を育成しようとしているが、まだ時間がかかる。細川亨(38)を戦力外にしたため、即戦力捕手の補強で、捕手陣の底上げをはかることが急務だったのだ。 それだけに捕手として最低限のスキルを持ち、その広角打法に「打てる捕手」としての可能性のある太田に“嶋の後継者”としての期待が大きい。 取材の最後に雑談となり、「太田さんがMCをやっているサンデージャポンが取材に来たりするかもね」と、また爆笑問題の話題を振ると「お話があれば、ぜひ! 太田さんとお会いしたいです。今は当然『太田光』と言えば、太田さんですけど、将来は『どっちの太田?』と言われるよう頑張ります」と、答えて周囲を爆笑に包んだ。 話題先行型の捕手から楽天の新時代の捕手へ。 太田光の来春キャンプインに注目が集まる。