レストモッド・ポルシェが1億5000万円! もし993型「911」が現在まで製造されていたら…を形にした「ガンサー ヴェルクス」とは
エンジンは4Lに排気量を拡大
リアに搭載されるエンジンは、オレゴン州のシャーウッドにあるロススポーツ・ロード・アンド・レース社によって製作されたもの。ベースの3.6L水平対向6気筒エンジンは4Lに排気量拡大され、2ステージのMoTecエンジン・マネージメント・システム、個別のスロットル・ボディ、996型911GT3のインテーク・プレナムをベースにした独自の吸気システム、そして鍛造のエンジン内部部品やレース仕様の装備が幅広く採用されている。 最高出力は400psを大きく超え、最大トルクも400Nm以上を達成。組み合わせるトランスミッションはゲトラグ製のG50型6速と、これはノーマルの993型911に等しいが、内部構造の強化やフライホイールの軽量化、さらには第二世代の997型911GT3からクラッチを移植するなど、パワートレインの強化にも万全の対応を施している。 この400Rスポーティング・ツーリング・チェルシー・グレー・コミッションのパフォーマンスが証明されたのは、発表直後にウェザーテック・ラグナセカ・レースウェイで行われたラップタイム・チャレンジだった。 ここでプロドライバーのランディ・ポブストが記録した1分30秒99のタイムは、マクラーレンP1にわずか0.2秒及ばないだけのもの。そもそも25台の限定車としてこのモデルを生産する計画だったガンサー・ヴェルクスのもとへ、その後ソールドアウトとなるまで多くのオーダーが舞い込んだのは想像に難くないところである。 今回マイアミ・オークションに出品されたモデルは、まさに2018年に発表されたその第1号車で、RMサザビーズによるエスティメートは100~130万ドル(約1億4900万円~1億9370万円)。じっさいの落札価格は102万2500ドル(邦貨換算約1億5235万円)となったが、それでも1998年式のRUF ターボRが、151万7500ドル(約2億2610万円)で落札されたことを考えれば、まだまだそのネームバリューと実績には大きな差があるのかもしれない。今後の評価次第では、さらに値が上がっていくことも想像に難くないだろう。
山崎元裕