アンプティサッカー初の女子選手デビュー 白熱の決勝に北沢豪氏「すごい」
九州は即座に反撃。失点直後、相手のパスミスを奪った星川がペナルティエリアに切り込み、倒されてPKを獲得した。星川が自ら、ど真ん中に蹴りこみ同点にすると、一進一退のまま1-1で延長戦へ。2日間で4試合目、暑さもあり体力が奪われた中での延長戦で、両チームとも脚をつるなどの負傷者が続出。「接戦になるし、暑さもきつい。お互いPK戦も覚悟していると思う」と試合前に萱島が語った通りに得点は動かず、PK戦に突入した。 九州のGK東幸弘が1人目で「読み通り」のビックセーブ。流れを一気に引き込む。アウボラーダは3人目がポストに当てたのに対し、九州は代表勢4人がいずれも左に決め、4-1で頂点をつかんだ。大会MVPは九州の主将・加藤。つなぎ役や守備、予選では得点も奪うなど、攻守における貢献、フォア・ザ・チームの意識が評価された。決勝では一時負傷退場しながらも、最後に勝利を決めるPKを蹴り、喜びながら倒れこむ、限界を越えた姿が印象的だった。
女子選手も北沢氏も「つえを軸足、難しい」
今大会では、アンプティサッカーで初めての国内女子選手がデビューした。高校女子サッカー部などでプレーしていたが、交通事故で右脚に機能障害を負い、20年ほどサッカーから遠ざかっていたという秋田真弓(九州)。初戦にFWとして途中出場すると、初ゴールを奪った。「サッカー経験者の自分はもっとやれると思っていたが、つえを軸足にするのは本当に難しかった。選手たちの真剣さに驚いたけど、やっぱり試合は楽しい」。 大会主催者の日本アンプティサッカー協会などが加盟する、日本障がい者サッカー連盟の北沢豪会長が来場し、つえを使った体験も。「軸足がなくて難しいし、片脚での疲労感は大きい。サッカーは選手が思った通りのプレーができた瞬間、観客の想像を超えるようなプレーが飛び出すのが魅力。自分は両足があってもそういうプレーができない時もあったのに、片脚でやるすごさ。そのタイミングでやるのか、というジャンピングボレーもあった。すごいよね、すごい。日本で世界大会ができれば、レベルの高いプレーを見てもらえるきっかけになる」と驚きを持って語った。