アンプティサッカー初の女子選手デビュー 白熱の決勝に北沢豪氏「すごい」
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片脚や片腕を切断、もしくは先天的に失った人たちが、つえを使って戦う「アンプティサッカー」の全国大会「第3回レオピン杯 コパアンプティ」が14、15の両日、大阪市の鶴見緑地球技場であった。今大会では初めて国内の女子選手が出場。FC九州バイラオールが優勝し、昨年の日本選手権に続き、国内大会を連続で制覇した。試合を見守った日本障がい者サッカー連盟の北沢豪会長は「決勝はレベルが高い。すごい」と驚いていた。 【動画】アンプティサッカー5年(上)“片脚のサッカー”ゼロからの日本代表誕生
片脚のない人がつえを使ってプレー
アンプティ(amputee)は切断者を意味し、片脚のない人がつえを使いフィールドプレーヤー6人に、片腕のない人がGKを務める7人制。25分ハーフで、通常のサッカーの3分の2ほどの広さのピッチを使う、交代自由、オフサイドがないなどの特徴がある。 大会は6チーム、約60選手が参加。初日に3チームずつで予選リーグ、2日目にトーナメントを実施。決勝には昨年大会に引き続き、九州とFCアウボラーダが駒を進めた。
九州は14年W杯の日本代表4人を中心とした抜群のパスワーク、スペースを埋める守備で攻守に安定。カウンター、セットプレー、ポストプレー、こぼれ球を拾う波状攻撃など多彩な攻めで圧倒し1位通過。準決勝では難敵の関西セッチエストレーラスに快勝した。 アウボラーダは、日本代表のエース、エンヒッキ・松茂良・ジアスを中心とした全員守備・全員攻撃で、予選は接戦をものにして1位突破。広島・静岡に快勝した準決勝では、小学4年生の石井賢が、アンプティサッカー公式戦で初めて、小学生として得点を記録した。
国内2強の決勝は接戦、PK戦へ
国内2強の顔合わせとなった決勝では、アウボラーダが布陣を変更。準決勝までは低めに置いていたエンヒッキをトップに上げ、攻撃力を生かしつつ、相手の主力を守備に割く戦術。九州は即座に対応、松田隆洋をエンヒッキにマンマークさせるのに加え、加藤誠が下がって守備を厚くした。アウボラーダはフリーの人間を使い、パスを回しながらピッチを広く使って攻撃、九州は萱島比呂、星川誠の2人のコンビネーションやロングボールで攻めたが、互いにDFの寄せが早く、隙を与えない。決定機はほとんど作れず0-0で前半を終えた。 九州は後半もエンヒッキ対策に人数をかけていたが、均衡を破ったのはアウボラーダの「伏兵」だった。後半9分、中盤でフリーでボールを受けた西條博信がドリブルで持ち上がり、加藤をシュートフェイントでかわすと、GKのタイミングを外しゴール左に流し込んだ。「自分はふかしてしまうことが多かったので、ミートしてコースを狙った。積極的にシュートを打てないのが課題だったけど、いつも『打て』と指示を出して、チームメートが背中を押してくれていたので。無我夢中でした」(西條)。