ミセス「コロンブス」騒動における隠れた「勝者」 今までの「常識」が「古い価値観」に転換するゲームチェンジ
そして最後に。一見すると、誰も得をしなかったようなこの「コロンブス」騒動。だが、もしこの騒動で何らかの利を得た存在があるとすれば、それは誰だろうかと考えてみよう。今回の騒動を喜んだ人がいるとすれば、「コロンブスは新大陸を発見した偉人」ではなく、「コロンブスは虐殺者である」という認識を固めたいと願っていた人々であろう。先住民族の名誉のためか、歴史学的な見地からの正義感からか、はたまた自らの利益のためか。
かつてはマイノリティの側にあり、コロンブスの歴史認識をめぐるゲームチェンジを虎視眈々と狙っていた人は、この騒動に満足げに頷いていたに違いない。近代というゲームの勝者は、常に、その構造を打破するゲームチェンジャーなのである。
中川 功一 :経営学者、やさしいビジネスラボ代表取締役