「テレビは副業だと思ってるんで」――ハライチが見据えるM-1卒業後のストロングライブ道
「生で観てもらいたいから」ライブのこだわり
絶好調ともいえる「副業」のかたわら、「本業」のネタライブで岩井は演出も手掛ける。昨年10月に開催したハライチ単独ライブ「けもの道」は、配信なし、DVD化もなしの希少なライブとなった。異例ともいえる形をとったのは岩井いわく、「生で観てもらいたいから」だ。 岩井:お笑いはノリでやってる部分があるんで、作品に残そうみたいな気持ちはないですね。漫才だったらまだしも、トークとか別に残ってもしょうがないなって思いますけど。落語とかじゃないんで、(わざわざ)伝えていくものじゃない。
特に遠方のファンにとって、配信はありがたいものだ。しかし、岩井の持論は容赦がない。 岩井:遠くに行くのしんどいじゃないですか。(行きたくても行けないっていうのは)行きたい気持ちがしんどさに勝たなかっただけなんですよ。 ある意味でファンの覚悟を問うような考えだが、会場の空気は高揚感に包まれていた。刹那的なライブを終え、澤部は「コロナ禍以前のライブのような熱を感じた」、岩井は「そこでしかできない話を共有できているというのが好き」と、それぞれ手応えを確かめていた。 澤部:岩井がネタを書き続ける限り、漫才はやりたいですね。やっぱり新ネタは楽しいですし、(ハライチは)漫才で出てきてますからね。ただ、僕は昔からテレビに出たかったのでテレビも本業です(笑)。 ハライチが確立したノリボケ漫才は、岩井がその場のノリで澤部を振り回すスタイル。アドリブ上等で輝く二人にとって、撮り直しのきかない生の現場こそ真価を発揮するフィールドだ。平日お昼の生放送の新MCとしても、きっと録画や後追いでは味わえない体験をさせてくれることだろう。
ハライチ ――― ボケの岩井勇気とツッコミの澤部佑は、ともに埼玉県上尾市原市出身。幼稚園からの幼なじみで2006年にコンビ結成。結成4年目の「M-1グランプリ」2009年大会で初の決勝進出。その後4回、決勝の舞台に立ち、関東を代表する漫才師となる。1月9日からスタートするフジテレビお昼の生バラエティー番組『ぽかぽか』(毎週月~金曜11:45~)でMCを務める。 (取材・文/遠藤雄士)