YouTubeはなぜ映像クリエイターを支援するのか?
映像クリエイターを支援する理由とは?
UGCやCGMと呼ばれる、一般のユーザーが作成するコンテンツは、いわば自然発生的に世に送り出されてきた。それを受け止める仕組みがプラットフォームの役割と考えられているが、なぜYouTubeはクリエイターを積極的に支援するのだろうか? 「YouTube自身はコンテンツを制作する役割を担っていません。しかし、プラットフォームに素晴らしい動画が集まり、それを見るユーザーが集まり、それにリーチする広告主が集まること。この三者がwin-winになるような世界を目指しているのです」と舩越さんは強調する。 つまり、YouTubeのパートナープログラムでは、クリエイターは映像の再生回数に応じて表示される広告から収益を得ることができる。再生回数が多ければ多いほど、クリエイターは潤い、次の作品作りに投資ができる。多くの人たちが注目する場所には広告主は広告を出したいと思う。広告のシステムを提供するのはGoogle=YouTubeなわけだから、YouTubeも儲かる。そういうエコシステムの循環を加速するための支援なのだ。 いわば日本の近江商人が大切にしてきたという「三方よし」をYouTube Spaceが体現している。実際、この場所を通じて、1000本以上のオリジナル動画が制作され、4700万回以上が再生された。クリエイター350組以上のコラボレーションも実現したという(2014年2月現在)。
国境を超えた映像コンテンツ
高いクォリティの動画とは何なのか? 舩越さんは「ユーザーに見てもらえる動画のことです。視聴時間をどう伸ばせるかがポイントです」と説明する。日本で制作される映像は、国内視聴者向けにとどまりがちだが、YouTubeは月間10億人が閲覧する。世界に向けた映像を発信していって欲しいと舩越さんは言う。 どうすれば世界に向けて発信していけるのか? ヒントの一つは「言葉の壁のないコンテンツ」だ。メイクアップ講座、可愛らしい動物やゲームの実況には可能性がある。年間4億円の収益上げたコンテンツもゲームの実況だった。 英語圏以外でも、自国以外の人にも見てもらうという言語を超えた流れがあるという。趣味で映像制作やる人はたくさんいるが、専業の映像クリエイターは相対的に少ない。アメリカでは趣味から始まって、プロとなっている人が多くいる。 「日本からもそうした映像クリエイターが生まれて欲しい」。舩越さんはそう願っている。