Apple Vision Proは働き盛り世代の「価値ある60万円の使い道」になるか
Apple Vision Proが、6月28日から日本でも発売される。高精細な4Kディスプレイに仮想的な世界をつくり出す、アップルによる「空間コンピュータ」という新しいカテゴリーのデバイスだ。筆者は国内発売の直前に、Apple Vision Proを借りて自宅で試すことができた。約60万円(59万9800円~)という高価なデバイスの価値を評価してみたい。 【画像ギャラリー】Apple Vision Proは身体にも優しい ■仮想のプライベート空間がひと部屋持てる感覚 VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった、没入型デジタルエンターテインメントを楽しむためのゴーグル型デバイスには、Apple Vision Proの前例が数多く商品化されている。Apple Vision Proも仮想空間の中でゲームや映画が楽しめるデバイスだが、それらは空間コンピュータが持つ魅力の一端でしかない。 Apple Vision Proが再現する「デジタル空間」は描画が高精細で美しい。加えてユーザーの視線トラッキングにハンドジェスチャー、声などを認識するユーザーインターフェースの操作性がとてもスムーズだ。Apple Vision Proを装着すると、現実世界から仮想世界の間を違和感なく移れる。 このことが何を意味するか、筆者はわが家のリビングルームでApple Vision Proを使ってようやくわかった。わが家は3LDKのマンションだが、もう一部屋「バーチャルなプライベート空間」を持てた感覚がある。Apple Vision Pro独自のオペレーティングシステムであるvisionOSに基づくデジタル空間の中に、仕事の書類を散らかしたり、巨大なスクリーンを映し出して映画を観たり、わがままに振る舞える。 本体に内蔵するカメラで現実世界の様子を高精細な映像として取り込んで4Kディスプレイに映し出せば、Apple Vision Proを装着したまま自由自在に歩ける。目を覆うヘッドセットで身体の動きを制限されないため、「バーチャルなプライベート空間」の中で身体を動かしている実感もある。 これから4LDKのマンションに引っ越すためは60万円の予算では到底足りないこと考えれば、Apple Vision Proは安い買い物と言えるかもしれない。