iDeCo加入条件が70歳までに延長方針 「60歳から毎月2万円積み立て」なら「何もしなかった人」と比べて70歳時点で100万円超を増やせる可能性
2025年の年金改正に向けて、見直しの全容が見え始めている。60歳以上で働きながら年金を受け取る人にとって、注目すべきは「在職老齢年金」制度の見直しだ。 【図解】iDeCoを活用して年金を受給した場合のシミュレーション
現行の制度では、「給料+年金(厚生年金の報酬比例部分)」の金額が50万円を超えると、超過分の半分の年金が減額(支給停止)される。いわば「50万円の壁」だ。それが今回の制度改正で、現行の50万円から62万円または71万円に引き上げる案、さらに完全廃止してどれだけ稼いでも年金カットされない案の3つが提案されているのだ。 「給与+年金」の金額が50万円を超える可能性がある60歳以上の労働者にとっては、資産を増やすチャンスが到来している。 一方で「年金は少なく、給料もさほど多くない。もともと『50万円の壁』を超えないから改正の恩恵はない」──そんなふうに考える人にも朗報がある。 iDeCo(個人型確定拠出年金)の拡充が検討されているのだ。 iDeCoは自分で毎月掛け金を積み立て、対象商品を選択して運用するいわゆる「じぶん年金」。掛け金は所得控除、運用益は非課税、受け取る時に税制優遇という3重のメリットがある。現在、サラリーマンは65歳未満(自営業者は60歳未満)しか加入できないが、これが70歳まで延長される方針だ。
再雇用後もiDeCoで毎月2万円を積み立てたらどうなるか
「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。 「年金+給料が少ない人にはiDeCoの活用がお勧めです。60歳から月2万円の掛け金を拠出すると、毎年、所得税・住民税が最低でも3.6万円ほど安くなる。5年続けると節税分が18万円、それに運用益も見込める。65歳以降もiDeCoに加入・運用できるようになれば、働きながら年金を受給し、収入の一部をiDeCoで運用することも可能になる」 60歳で再雇用後の月給30万円の人が、iDeCoに毎月2万円の掛け金を積み立てたケース(年利5%で運用した場合)と、何もしなかった場合の70歳時点の老後資金を比較した。 iDeCoなしは公的年金のみになるが、活用すれば節税効果や運用で106.5万円も資金を増やせる可能性がある。 制度が大きく変わるタイミングだからこそ、新しい“得するチャンス”を見逃してはならない。 ※週刊ポスト2024年12月20日号