【バスケ】48点差の“圧勝”で天皇杯2連覇を果たした千葉ジェッツ 「パーフェクトに近い」スペーシングをいかに体現したのか
「コーチ陣の完璧なゲームプランのおかげで、選手もやりやすくプレーできました」 16日、埼玉県のさいたまスーパーアリーナで開かれた第99回全日本バスケットボール選手権大会の決勝。昨シーズンのBリーグファイナルで敗れた宿敵の琉球ゴールデンキングスを117ー69という大差で退け、大会2連覇を果たした千葉ジェッツの富樫勇樹キャプテンは、試合後にコート中央で行われたインタビューで、そう勝因を語った。 千葉Jは3Pの成功率が56.8%(21本成功)に達し、ターンオーバーはわずかに三つ。高さと重量を備えたビッグマンが揃う琉球を相手にオフェンスリバウンドは19本に上り、前半から優位に試合を進めた。 15,385人もの観客が詰め掛けた大一番で、チームがこれだけの数字を記録できたことは、富樫の言葉に出てきた「ゲームプラン」が見事にハマった結果だといえる。どのようなスカウティングだったのか。ジョン・パトリックHCが「パーフェクトに近い」と評したオフェンスの出来の鍵となったのは、コート上の“スペーシング”の作り方と使い方だった。
第3Qで一気に突き放し勝負決める
スタートは互角だった。3月にチームに復帰したばかりのクリストファー・スミスのタフな3Pとフリースローで5点を先制するが、琉球も負けじと岸本隆一が2本連続で3Pを沈めるなどして対抗。第1Qは点を取り合い、25ー21で終えた。 大きく試合が動いたのは第2Qだ。ディフェンスで相手がピックプレーを仕掛ける際、ハンドラーをダブルチームで追い詰めるブリッツが効果を発揮。オフェンスでは富樫やアイラ・ブラウンが引き続き高確率で3Pを射抜いたほか、ジョン・ムーニーやゼイビア・クックスらが積極的にオフェンスリバウンドに絡み、セカンドチャンスポイントを重ねて48ー32とリードを広げて前半を折り返した。 後半に入ると、さらに千葉Jの勢いが加速する。第3Q開始直後、今村佳太にディナイディフェンスをされた富樫がバックカットで裏を取り、難なく後半初得点を挙げる。各選手がペイントタッチからのキックアウトを徹底し、このクオーターだけで3P6本を含む37得点。30点以上の差を付け、一気に勝負を決めた。 3P6本を含む20得点、8アシスト、ターンオーバー0という圧巻の活躍を見せ、大会MVPに輝いた富樫は「2連覇という結果はすごく嬉しいし、チームとしてこういうゲームができたことはとても自信になります。また切り替えて(Bリーグの)シーズンを頑張っていきたいです」と喜びを語った。 琉球は1月末にアレックス・カークが帰化し、選手層に厚みが加わってBリーグでは7連勝中と好調だ。8得点を挙げたほか、昨年までチームメートだったヴィック・ローをマークするなどディフェンスでの貢献が光った原修太は「前評判では『琉球有利なんじゃないか』という人が多かったので、それを覆して勝てたことはすごく嬉しいです」と笑みを浮かべた。 千葉Jは今月8~10日にフィリピン・セブ島で行われた東アジアスーパーリーグ(EASL)のファイナル4(決勝トーナメント)でも初の頂点に立ち、1週間ほどの間に今シーズン“二冠”を達成した。