支援制度なく離職するケースも 「不妊治療と仕事の両立支援アドバイザー」環境整備に意欲ある企業に派遣 三重県
三重県は、不妊治療と仕事を両立しやすい環境づくりを推進するため、環境整備に意欲のある企業に対し「不妊治療と仕事の両立支援アドバイザー」を派遣する取り組みを今年も実施すると発表し、参加企業の募集を開始しました。 県の担当者によると、晩婚化などを背景に働きながら不妊治療を受ける人は増加傾向にあり、県の特定不妊治療費の助成を受ける人の割合も、企業の中心として働く30代が最も多い一方で、不妊治療の支援制度を設けている企業は少なく、やむを得ず離職するケースも多いということです。県が実施したアンケート調査でも、不妊治療を行う従業員の多くが、休暇制度や柔軟な勤務形態、それらを利用しやすい環境づくりを求めているという結果となっています。 働き盛り世代の離職は大きな損失となることから、企業側も制度発足に向けて動き出そうとしている中、精神面でのサポートも含めて職場としてどのような制度を整えていくべきか、不妊治療休暇制度の利用者に対する社内の理解を深めるにはどうすればよいか、などの課題を抱えているといいます。 こうした状況を受けて、県は2020年度から「不妊治療と仕事の両立支援アドバイザー」派遣を開始。 過去に参加した企業からは、「制度を検討していく中で、他社の取り組みなども聞けて参考になった」「企業として取り組む必要がある内容であると認識できた。女性職員だけでなく、男性職員も対象として検討していく必要がある」などの声が届いているということです。 アドバイザーとして派遣されるのは、三重県社会保険労務士会に所属する社会保険労務士。今年7月から来年3月までの期間で、1社あたり2回程度派遣され、不妊治療と仕事の両立に関する課題の確認や、方策の検討などの相談に応じます。参加可能企業は先着順で3社まで。申込みはWEB・FAX・メールで受け付けしています。 なお、今年6月に厚生労働省が公表した「人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、三重県の2023年度の合計特殊出生率は1.29で、前年の1.40を0.11下回り、全国順位は25位となっています。