魔法のような羽生のSP首位発進。66年ぶりの連続金メダル獲得のシナリオは?
66年ぶりの連覇を手にするには、プログラム構成がカギを握ることは間違いない。 フェルナンデスは、サルコー、トゥループの2種類の4回転を3本の構成だろう。1月の欧州選手権で6連覇を果たしたプログラムだ。完成度が高くミスのリスクは少ない。安定した得点をマークすることになる。 宇野は「4回転を4本跳ぶ」と会見で公言した。宇野のプログラムも1月の4大陸選手権のものが濃厚。4回転ループ、4回転フリップの大技をふたつ冒頭におき、後半に4回転+2回転の連続トゥループと、4回転トゥループを入れるプログラムだ。 だが、羽生は、この日、「明日のことを喋る気はない。明日の調子を見て構成を決める」と、明言を避けた。前出の中庭氏が指摘するようにSPの疲労度を考慮した上で、明日の朝に行われる公式練習で、4回転ループを入れる3種類4本の構成にするのか、サルコー、トゥループだけを4本入れるのか、それとも3本にするのかを決定するのだろう。 「たくさんの4回転が跳ばれ種類も必要ですが、ショートではサルコーとトゥループ(だけ)で、トップ3のスコアをとっています。隣にいる宇野選手は、むずかしい種類で高得点をとっています。どちらが正解とも思っていません。どちらも正解。その選手に合ったもの、その選手の理想があります。そこを目指してやっていきたい」 4種類の4回転を操るネイサン・チェン(18、米国)が転倒に次ぐ転倒でメダル圏外に消え、サルコーとトゥループの2種類だけで勝負した羽生とフェルナンデスが1、2位の位置をキープした。加えて羽生は、「ソチ五輪フリーで犯したミスのリベンジ」という言葉を繰り返す。彼が求めるものは、おそらく完全無欠の作品なのだろう。そう考えると4回転ループは封印、サルコー、トゥループの2種類だけで勝負することになる。問題は、それを3本にするのか、4本にするのか。2015年の世界選手権では、4回転3本で世界最高得点をマークしている。 この日、SP後に、フリーの滑走順の抽選が行われ、羽生は最終組の4番目となる22番、2位のフェルナンデスが続く23番、最終滑走は宇野となった。羽生にとって、プレッシャーを感じることなく、自分だけの世界を表現することに集中できる最高の滑走順になった。羽生のまた完成したわけでない感動のドラマは、どんなエンディングを迎えるのだろうか。