香里ヌヴェール学院小に自然の校庭 大阪芸大教授が設計 野山をイメージ、自由な遊び誘引
寝屋川市の香里ヌヴェール学院小学校に、野山のように自然を体感できる遊び場(校庭)が誕生した。造園学が専門の大阪芸術大の若生謙二教授が設計・施工管理を手がけ、もともとあった木立の広場にとけ込む空間になっている。休憩時間には、子供たちの無邪気な声が響く。 【写真】木登りやロープ渡りも楽しめる遊び場(校庭) 「これまでは鬼ごっこばかりだったけど、いろんな遊びができて楽しい」。取材に訪れた11日午後、5年の小椋美怜さん(10)と川勝いちかさん(11)が目を輝かせた。 遊び場は1080平方メートルで、「のぼる」「おりる」「揺れる」「隠れる」が体験できる。中心に一つの丘を形成する築山(高さ約1・5メートル)を配置し、滑り台として使えるように。奥には高さ約2・5メートルの木があり、木登りやロープ渡りも楽しめる。 もう一つの丘にも枕木で囲った堀が配され、秋に落ち葉をためてその中で遊べる。大きな石や地面を覆う地被植物も随所にあり、野山のような雰囲気を醸す。 遊び場は子供たちが走り回れる広場だったが、同校を運営する「聖母女学院」の創立100周年事業としてリニューアル。生息地に暮らす動物本来の行動を引き出す「生息環境展示」で知られ、近年は「野あそびの丘」(和歌山県紀の川市)を設計するなど遊び場の整備にも力を入れる若生氏に依頼した。 若生氏によると、一般的な人工遊具に使われるのは鉄やプラスチック素材が多く、熱伝導率が高いため、夏場には高温化が伴う。若生氏はそうした遊具による「遊びの画一化」も指摘し、「子供の想像性の育みを妨げかねない」と警鐘を鳴らす。 この日、遊び場を訪ねた若生氏は「設計側の想像を超えて自由に遊んでくれている」と目を細めた。 同校の嶽(だけ)篤史教諭は「同窓会組織の支援を受けてリニューアルにこぎつけられた。子供たちののびのびとした姿を見るたびに良かったと思う」と話す。(矢田幸己)